第237号『贈られた言葉』

普通に歩くのはなんともないのだが、坂や階段の下りで右膝が痛む。 加齢だろうか、原因は解らない。 鍼灸や、整骨院でいろいろと治療しているが、うっすらとした痛みが消えない。 走ることもままならならず、残念ながら毎年参加してい

第236号『母の日』

高校を卒業してから、「母の日」におふくろの傍にいたことがほとんどない。 東京と津軽では致し方がない。 いつも、花を贈って茶を濁していた。 そのおふくろが先月、亡くなった。 郷里が遠いから、墓参りもままならない。 足を悪く

第235号『ともに食べるということ』

今月は母の葬儀、従甥の結婚式と続けざまに血縁のあるものたちと一同に顔を会せる機会が続いた。 そして、悲しみや喜びの中にも、なんとも摩訶不思議な安心感に包まれている自分を発見した。 それは、顔や声、しぐさが似ている族の一員

第234号『隅田川テラス』

浜町にアトリエを構えてから、もうすぐ1ヶ月になる。 まだまだ慣れない街の景観と、それに伴う発見、そして驚きは実に楽しい。 例えば、ワルターベンヤミンがパリの街を徘徊し、永井荷風が墨東の街に紛れ込んだように。 でも、非日常

第233号『母の思い出』

出張で大阪にいた朝、義妹から電話がきた。 朝の電話は、あまり嬉しくない。 なぜなら大概、イヤな知らせが多いからだ。 受話器の向こうから、義妹の「母が亡くなった」との声が震えていた。 その場で、何度か義妹、地元の友人、従兄

第232号『ミッション』

それまで粗悪品の代名詞だった「メード・イン・ジャパン」の品質が1980年代に入り、極めて良くなった。 一番の輸入国だったアメリカから、その原因究明のために調査団が来日した。 その調査団が全国各地の工場や現場で、神のように

第231号『浜町アトリエ』

2月16日、生前カマタスエコさんが出演したテレビ番組収録の立会いで浜町スタジオにでかけた。 思えば、この日、彼女とお会いした最後の日となった。 (カマタさんの思い出はファンサイト228号「戦友の死」に記載) 撮影を見届け

第230号『やる気』

リーダーが組織の結束を固めようとするのは、自明のことである。 しかし、結束の押しつけは反発も呼び覚ます。 例えば、石原東京都知事は公立の学校で、日の丸掲揚を押し進めようとしている。 一見、正当性があり否定しにくいことであ

第229号『彼は遅れてやってきた』

人生には、遅れてやってくる人がいる。 そして、世間ではそういう人が最終的には勝ち残っているのをしばしば目にする。 間違いなく、羽原大介もその一人である。 羽原大介とは何者か。 昨年の日本映画界で、数々の賞を獲得した映画、

第228号『戦友の死』

多くの仕事を共にしてきた、カマタスエコさんが2月28日、クモ膜下出血で亡くなられた。 エッセイから写真まで、幅広い守備範囲を持つ家庭料理研究家。 旅と、なぜかきのこが大好きな主婦。 住まいは、地方都市。 毎朝5時には全快