第263号『矜持』

先日、今年最後のレースに出た。 1年に数回、10キロほどのレースを走る。 以前なら、ろくに練習もせずに走れた距離だが、いまはそんなわけにはいかない。 フルマラソンを走るほどのトレーニングではないが、それでも週3、4回、5

第262号『迷子』

曇り空の日曜日、紅葉を観に皇居まで歩いた。 浜町から小伝馬町、神田を経由して皇居まで普通に歩けば、およそ1時間でたどり着く距離である。 休日のオフィス街はまるで、役者のいない映画のセットのように、物音もせず静まり返ってい

第261号『拘泥する』

アトリエのある人形町、浜町周辺には老舗や隠れた名店が、ことのほか多い。 鯛焼きの「柳屋」、親子丼と軍鶏の「玉ひで」、居酒屋の「笹新」、焼き鳥の「鳥近」、洋食の「芳味亭」、すき焼の「日山」などなど、さながら美味いもの博覧会

第260号『欲望』

任意のひとつとは、すべてということと同義である。 例えば、画鋲が1コ、部屋の絨毯に落ちているとする。 たちまち、その絨毯の上を歩くのが怖くなる。 最近多発している、食品にまつわる賞味期限偽装のニュースをみるにつけ、もはや

第259号『危機』

細胞へのストレスが筋肉作りには欠かせないことを、理化学研究所のチームがアメリカの細胞生物学誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」に発表した。 このなかで、筋肉形成には細胞ストレスが必要で、ストレスに耐えることのできた

第258号『自立するということ』

今朝、ボクシングで反則を犯した親子の謝罪会見が新聞の一面を飾っていた。 うっすらとヒゲをたくわえた男が父親で、傍らで頭を下げている少年が恐らくボクサーなのだろう。 少年は怯えているようにも見えた。 父と子の希薄な関係、家

第257号『あたりまえということ』

ミャンマーに、いま世界の目が注がれている。 政府が招いた困窮に、僧侶と普通の市民が平和的な抗議行動を行った。 この抗議行動に対し、ミャンマー政府の対応は銃とこん棒での鎮圧だった。 そして、日本人ジャーナリストもその銃弾の

第256号『いただきます』

最近、めっきり外食が減った。 美味しくないのだ。 どこで食べても「塩っぱい、辛い、味がない」と思うことが多い。 食べてがっかりする。 だから、なるべく自炊する。 特に飲んだ翌日は、無性にご飯とみそ汁が食べたくなる。 アル

第255号『「もう」か「まだ」か』

先週末、第37回南房総市ロードレース千倉に出た。 昨年はハーフを走ったが、今回は10キロのレースにした。 今春、ひざの故障がたたり練習不足だったが、最近なんとか練習も再開でき、久々のレースだった。 海風は少し強かったが、

第254号『しあわせ』

朝、流れる雲を見ていたら、ふと弟のことを思い出した。 10年前の9月、3歳年下だった弟が「脳腫瘍」で9時間に及ぶ大手術をした。 手術後、左半身の麻痺、視野狭窄そして言語機能の障害がでた。 手術前、担当医からレントゲン写真