第267号『甘え』

年末から年始にかけて、昨年の日記やスケジュール帳を読み直していた。 自分では、いつもと同じように人と会い、企画し提案していたつもりでいたが、なぜか反応が鈍かった。 その原因は何か、と。 分ったことは、「甘え」だった。 別

第266号『努力するということ』

自慢にもならないが、僕は負けることや、上手くいかないことには慣れている。 世の中にはどうにも手に負えないことや、どうやってもかなわない相手が山ほどいる。 今年は、いろいろな出来事が続いた。 アトリエの開設と同時に、年間契

第265号『自由』

ウィキペディアによれば「自由」とは、他のものから拘束・支配を受けないで、自己自身の本性に従うこと、と記載されている。 さらに、この語の訳者、福沢諭吉がリバティを訳するに際して、初めは「御免」と訳す予定であったが、上意の意

第264号『五感』

食品に「賞味期限」の表示がされるようになったのは、いつのころからだろう。 少なくとも、僕の学生時代にそんな表記はなかったと記憶している。 ネットで調べた。 関西の落語家、桂都丸さんのサイトで「都丸のはじまりはじまり」とい

第263号『矜持』

先日、今年最後のレースに出た。 1年に数回、10キロほどのレースを走る。 以前なら、ろくに練習もせずに走れた距離だが、いまはそんなわけにはいかない。 フルマラソンを走るほどのトレーニングではないが、それでも週3、4回、5

第262号『迷子』

曇り空の日曜日、紅葉を観に皇居まで歩いた。 浜町から小伝馬町、神田を経由して皇居まで普通に歩けば、およそ1時間でたどり着く距離である。 休日のオフィス街はまるで、役者のいない映画のセットのように、物音もせず静まり返ってい

第261号『拘泥する』

アトリエのある人形町、浜町周辺には老舗や隠れた名店が、ことのほか多い。 鯛焼きの「柳屋」、親子丼と軍鶏の「玉ひで」、居酒屋の「笹新」、焼き鳥の「鳥近」、洋食の「芳味亭」、すき焼の「日山」などなど、さながら美味いもの博覧会

第260号『欲望』

任意のひとつとは、すべてということと同義である。 例えば、画鋲が1コ、部屋の絨毯に落ちているとする。 たちまち、その絨毯の上を歩くのが怖くなる。 最近多発している、食品にまつわる賞味期限偽装のニュースをみるにつけ、もはや

第259号『危機』

細胞へのストレスが筋肉作りには欠かせないことを、理化学研究所のチームがアメリカの細胞生物学誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」に発表した。 このなかで、筋肉形成には細胞ストレスが必要で、ストレスに耐えることのできた

第258号『自立するということ』

今朝、ボクシングで反則を犯した親子の謝罪会見が新聞の一面を飾っていた。 うっすらとヒゲをたくわえた男が父親で、傍らで頭を下げている少年が恐らくボクサーなのだろう。 少年は怯えているようにも見えた。 父と子の希薄な関係、家