第297号『所作』
生物学者スティーブン・ジェイ・グールドの『フルハウス・生命の全容・4割バッターの絶滅と進化の逆説』によれば「ジャンルが成熟していくと平均化する」と言及している。 かつてメジャーリーグでは4割を打ったバッターは20名ほどい
第296号『ライバル』
拮抗、対峙、対決。 それぞれに一人で立つものたちが並ぶと、どんな変化が生まれるか? その様が見たい。 茹だる暑さのなか、上野の東京国立博物館で開催されている展覧会場へ出掛けた。 『対決 巨匠たちの日本美術展』 日本美術史
第295回『インサイトストーリー』
釣り好きな先輩から、篤とその奥義を聞かされた。 曰く、狙う魚によって、えさ、糸の長さ、潮目、時間を読みながら釣糸を垂れるのだと。 傍目からはのんびりと見えるようでその実、細々と計算していることが少し理解できた。 この不景
第294号『チームファンサイト』
浜町にあるアトリエ(仕事場)は、探しに探してようやく見つけたわけではない。 いわば偶然に見つけ、衝動で決めた。 それでも、前々から決めていたことが3つある。 仕事場を決める3つの条件 1.幾分広く使い勝手のよい台所がある
第293号『自分との対話』
本を読んでいて、気になる箇所に線を引く癖がある。 勿論、身銭を投じて買った本にである。 なんと勿体ないとのお叱りを受けるやも知れないが、この方法を採ってかれこれ10年になる。 本を読むことがあまり好きではなかった。 読み
第292号『弟との約束』
7年前の7月、脳腫瘍で弟を亡くした。 彼が46歳の時だった。 同じ親から生まれ、同じ水を飲み飯を食い、血が流れている。 弟と僕との間にどれほどの違いがあろうか。 僕が脳腫瘍になってもおかしくはなかったと、いまでも思う。
第291号『光のアーチ』
困ったことに、ムズムズとやる気が起きてきた。 会社を立ち上げたのを期に、封印していた虫が這い出してきたからだ。 トライアスロンは、水泳と自転車、そしてマラソンとの複合スポーツである。 32歳のとき、スポーツ雑誌「ターザン
第290号『映画「休暇」を観た』
門井肇監督作品、映画「休暇」を観た。 原作は吉村昭の短編小説集「蛍」のなかに収められている同題の小品だ。 死刑囚を収容する留置所に勤務する寡黙なベテラン刑務官、平井(小林薫)。 そんな平井がシングルマザーの美香(大塚寧々
第289号『想いは叶う』
2001年5月12日、13日の二日間にわたり自動車メーカー、マツダ株式会社広報研修会に講師として参加した。 この研修会は外資系の広報専門会社によって運営され、講師陣も大手新聞社編集委員、外資系生命保険会社コミュケーション
第288号『いまを生きる』
秋葉原で起きた無差別の殺意。 自動車工場に働く地方出身者の手によって7名もの命が奪われ、10名が傷を負った。 ワーキングプアー、負け組、そして、孤独と怒りの増幅。 あまりに遣る瀬ない事件が続く。 実は、市場経済の行き過ぎ