第327号『一所懸命』

先日、母の三回忌で郷里に帰省した。 青森空港に降り立つと、空気が刺すように冷たい。 見れば、あちらこちらに残雪があり、3月下旬とはいえ、まだまだ春遠しである。 17歳で上京、すでに東京で生活している時間の方が遥かに長く、

第326号『十五の君から』

アンジェラ・アキの『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』を聴いて、ふと思い出したことがある。 将来、どうしてもデザインの仕事がしたい。 高校2年の夏、桑澤デザイン研究所の夏期講習会に参加するため上京した。 この間、出版社に勤めてい

第325号『いま一番したいこと』

先週末、新しいファンサイトをアップした。 親子で楽しむ『日本フィル夏休みコンサート2009』のファンサイト。 日本フィルハーモニー交響楽団は1956年創立の日本屈指のクラシック交響楽団である。 日本フィル恒例の夏休みコン

第324号『処方箋がない』

サッカーのまねごとをして、足の人差し指を打撲した。 週末の散歩はあきらめ、長椅子にゴロリとなりながらTVをつけ本をながら読みしていた。 幾つかの報道番組や、果ては「新婚さんいらっしゃい」まで見るともなく観た。 映し出され

第323号『インサイト』

製品やサービスが素晴らしいからといって、お客様に受け入られるとは限らない。 むしろ期待通りに売れることの方が珍しい。 マーケティングの巨人、セオドア・レビットによれば「企業が売るべきものは、売り手によって決まるのではなく

第322号『21世紀、クリエイティブの挑戦』

閉塞感がこの国を覆っている。 日本の経済、政治、社会の潜在力は失われてしまったのか。 そんなことはない。 いつの時代も若者が未来をつくる。 最近、改めてこの事実を実感した。 いま、2つの専門学校の学校案内を作成している。

第321号『教えを請う』

昨年、北陸の旧家から江戸中期に活躍した絵師、伊藤若冲の作品が見つかった。 六曲一双の大作「象鯨図屏風」。 海の王者、鯨に対し、それまで常識とされていた陸の王者、獅子に代わり象を対峙させるテーマの斬新さ。 そして、白と黒と

第320号『一人勝ちなどない』

先月、大手企業の関連会社が運営する健康食品サイトがひっそりと閉じた。 立ち上げ当初、関わっていたが運営方針の違いもあり、このプロジェクトから外れていた。 売上が伸びず、事業縮小に至ったという。 ご担当者だった方からの知ら

第319号『もし、それがなかったらどうなる』

なんであれ、それがどんな意味を持っているかを考える時、それがなかったらどうなるかを想像してみるというのが、手っ取り早い。 先日、百貨店の部門別売上高で化粧品が前年比1.7%のマイナスとなった。 百貨店の全商品合計の年間売

第318号『身土不二』

津軽で生まれ育った所為もあり、果実といえばリンゴだった。 近頃では、見ることもない「ユキノシタ」という小さなリンゴをよく食べた。 シャキッとした歯ごたえと、甘過ぎない味わいが好きだった。 地元に居る妹に聞けば、カタチも小