第53号『事件』

「出来事」は何かが、あるいは誰かが、光を当てて初めて「事件」として昇華する。 2003年4月20日。 この日、LAドジャーススタジアムで、「事件」に立ち会った。 LAドジャース対SFジャイアンツ、第6戦。 ここまで対ジャ

第52号『自由』

週末、書類を整理するためのファイルが欲しくて100円ショップに出かけた。 しばらく見ていない間に随分と品揃えがよくなり、売り場のスペースも広くなっていた。 そこには食器、文房具、食品、化粧品等ありとあらゆるものがあった。

第51号『ラディカルな意志のスタイル』

    内容か様式かと、比べれば、あるいは主題か形式かと、問われれば、様式や形式のほうがはるかに重要であることなど、わかりきっている。 例えばアキ・カウリスマキとタランティーノを、中島みゆきとユーミンを、野茂英雄と松井秀

第50号『習慣』

ロングピース40本、これが33歳の時の一日の喫煙本数であった。 タイのパタヤビーチで開催される「タイトライアスロン‘87」に参加するため水泳を習い始めたころである。 しばらくして泳ぐ度にどうにも息苦しさを感じた。 コーチ

第49号『理想の音』

さそうあきらの『神童』は主人公である天才少女、成瀬うたのピアニストとしてのデビューから、世界の頂点を極め、メニエール病によって聴力を失い、そして再びピアニストとして復活するに至るまでの音をめぐる愛の物語である。 そしてま

第48号『零度の眼差し』

数ある東京の美術館の中でも一番好きな美術館は、東京八重洲にあるブリヂストン美術館である。 時々時間を作ってはその常設展示された絵画と彫刻を観て楽しんでいた。 この美術館のよさは小ぶりではあるが一つ一つ質の高い印象派の作品

第47号『ゆっくり走れば速くなる』

いまでも週に1,2度LSDをやる。 LSD、といっても危ない薬物のことではない。 Long Slow Distance 長時間、ゆっくり、距離を走る。 はじめてトライアスロンに参加しようと決め、さてなにからどうすればいい

第46号『ライフスタイル』

友人に三島由紀夫と『忠臣蔵』の大石倉之助の共通項がなにか分かるかと訊ねられ、しばし答えに窮した。 答えは割腹したことと、亡くなった歳が45歳の同年齢だったということである。 NHKの大河ドラマで大石倉之助役の長谷川一夫の

第45号『キーワード』

文明とは自然の摂理からの無限の逸脱にすぎない。 そのことを証明してみせたのは文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースである。 文明の目から見れば未開は幼稚に見えるだろうが、未開から見れば文明が幼稚なものに見える。 少なく

第44号『記憶を消す街』

時々5月にニューヨークの街を歩いたときの記憶がよみがえる。 10年ほど前、仕事で訪れたこの街はさながらアールデコ様式建築物の展示場でもあった。 アール.デコは、一九二〇年代を盛期としてヨーロッバ、アメリカに波及した新しい