
私が震災以後からお世話になっている 「横浜経済新聞」の運営母体 NPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」が、神奈川県の「2012年度新しい公共支援事業」からの委託で行っている「共感発信プロジェクト」という名のプロジェクトがあります。
概要は、活動を県内で行うNPOなどの公益団体を12選び、その団体の活動を支える「寄付の募集チラシ」を、同じく12名のグラフィックデザイナーを公募、マッチングし、双方でそのチラシを作りあげながら「情報デザインの重要性」を理解し、活動をさらに発展させていくお手伝いをするというものです。
今回私はこのプロジェクトメンバーとして2つの団体の取材にでかけましたが、今回その2つを2週に渡りご紹介します。
最初は葉山町にある任意団体 「ユニバーサル絵本 ユニリーフ」。
ここは「ユニバーサルデザイン」、つまり年齢や性別、障害の有無にかかわらず使えるデザインの意で、社会のいろいろなところに導入されています。
ユニリーフの代表を務める大下さんの娘さんが、難病により2歳半のときに全盲になってしまったことをきっかけに、点字を知り、娘に本を読ませたい一心でこの活動を始められたそうです。
「最初はとにかく絶望で、何をすればいいか途方に暮れていました。しかしある日『いい1日はいい人生をつくる』という言葉に励まされ、それを心がけて生きてきました。」とお話していました。
初めて知ったのですが、全盲の子供が読めるような絵本はなんと年間で50冊程度しかないそうです。そのため健常人の子供が触れる名作などはほとんど読めないとのこと。そこで彼女は、市販の絵本を裁断し、そこに透明の点字シートを付けることにより、全盲の子でも読めるようにしたのです。
もちろん点字を覚えるのにも子供にとっては大変な話で、2~3年かかるそうですが、ようやく読めるようになって情緒教育に重要な時期に読める本が少ない。
そんな問題をなんとか解決するとともに、この絵本を作ることで健常児の子供と全盲の子がともにその本に触れていく中で互いに何も変わらないのだ、ということを学ぶ経験が何より今後の人生にとって重要なのだ、と大下さんはお話されました。
母は強し・・・と控えめに話す大下さんの目を見ながら感じるとともに、このようにたくさんの素晴らしい活動がまだまだ知られていないのだ、ということを改めて感じました。その意味でも今回のような試みは非常に意味が大きい意義があると思います。
「共感発信プロジェクト」デザイナーの募集は10月17日(水)まで。ご自身がデザイナーの方はもちろん、お知り合いにデザイナーがいる方、ぜひこの意義あるプロジェクトに参加頂けますようお願いいたします。
また、ユニリーフ以外の採択団体を見たい方はこちらへ。