第176回 ヨコハマローカリズム

Downtown of Yokohama
Downtown of Yokohama

昨年地元の横浜で開催された横浜開港150周年記念博覧会「開港博Y150」について新聞にエリア記事が載っていました。

それによると、会全体で23億円もの赤字を出し、その穴埋めのために横浜市が市費から十数億円を補てんすると方針を固めた、という内容でした。
目標数だった500万人に対して実績は4分の1にも満たない124万人で、その結果この莫大な赤字が出たとのこと。

実質的な主催団体であった市の外郭団体「横浜開港150周年記念協会」がこの結果の責任は広告会社にもあると主張し、交渉が決裂したため、大手広告代理店や他の業者と未払い委託料に関して裁判所による特定調停の結果、代理店への未払い委託料34億円のうち市が十数億負担、残りの債権はその代理店が放棄するかたちで、市議会で補正予算案が議決されればようやく決着が付くようです。
しかしこれで最終解決ではなく、他の旅行代理店や駐車場管理会社などとも調停を続けているわけで、今後同じように市費で赤字を補てんする可能性が出てきている、と報じています。

昨年の話でまだ記憶にも新しいのですが、横浜をこよなく愛する一市民の私からすれば、メディアでのタレント的なパフォーマンスが有名な中田市長(当時)を始めとする市が勝手に進めて開催するというイメージがあり、その割にはPRもしっかりされておらず、本当の意味で市民を巻き込んだイベントという空気が全くなかったことが思い出されます。
フランスから巨大なクモのロボット「ラ・マシン」などを鳴り物入りで呼び込み、それはそれでなかなかのものでしたが、それ以外は全くといっていいほど印象に残っていない。それは友人などに聞いても一様に同じ感想でした。

「市の補正予算」と簡単にいいますが、それは結局住民の税金であり、その金額があれば例えばお年寄りのバスだとか、子供の為の学童保育だとか、いろいろなことに有効に活用できたことは間違いありませんよね。

ちょっと前に近所の商店街でお母さん達が署名をしており、それは市の学童保育の補助金が減額されているなか、父兄のボランティアで必死に活動を支えている現状を改善したいという署名活動でした。地域のコミュニティがそんな状況であるのに、企業と行政の失敗には数十億の補てんがすぐに決定される。
この町を愛するものとして矛盾を感じざるを得ない話です。

しかもこの開港博を声高で得意気にメディアで話していた中田前市長はその後の総選挙を前に突然辞任。一説では開港博の赤字の責任追及を逃れるためだとか、国政に打って出るだとかいろいろな噂もありましたが、自身の辞任の理由については「横浜市の財政再建と開港150周年関連事業に一定の目途がついた」と語っているそうです。
週刊 中田宏「横浜市長辞任の真相を語る」より 
目途、ついてないですよね(笑)??
彼に関しては「市政からいきなり消えてしまった人」というのがミクシイ他で見る多くの市民の感想ですが、悲しいかな彼を選んだ責任は市民である我々にあるわけです。

私が好きでよく出掛ける「横浜橋商店街」やその他のディープなエリアには、企業主体で作られ発展してきた「みなとみらい」に象徴される「スタイリッシュ、リッチ&ゴージャスできれいなヨコハマ」とは全く違う空気が流れています。
先日APECが開かれ、世界から首脳が集まった町とは思えないくらいです。

私にとってはもちろん両方とも大好きなヨコハマですが、ローカルを自認し誇りに思う市民として、もっと行政とか企業は市というブランドの名のもとに何をするつもりなのか、そしてその結果この町がどうなっていくのか、ということに気を配っていかなければと強く感じました。

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