第224回 「まだ しかもこれから」

120113
先日震災から10カ月を経過しました。
被災地の特番もいくつかやっていたようですが、友人から聞いた話しでは、一見すると「もう被災地は十分立ち直っている」という印象を受けたそうです。フェイスブックでも明らかに震災関連の情報や投稿が少なくなっていると感じています。
それはそれで喜ばしいことですが実際はどうなのか。

●石巻 Kさんのケース
以前に訪問した石巻で焼肉FC店を2店経営していたKさんは、2店舗が津波で全壊、2名の従業員の方を亡くされました。遅々として進まない行政の支援をあてにせず、他の事業者の方々と連携し、事業復興の支援金を募る支援サイト「がんばっぺ石巻」を立ち上げて活動されているのです。
しかし年始にご挨拶をしたところ、「復興はがっかりするほど進みません」とのことでした。被災がひどかった石巻では、政府の補正予算の殆どがインフラの整備に流れてしまい、中小企業への対応が全くといっていいほどされていないそうです。それでもKさんは「春先の店舗再開と事業所支援に全力投球していきます。」と気持ちを強く活動を続けていらっしゃいます。

●福島 南相馬市 ぬまゆうさんのケース
そして今はテレビでは殆ど危機感をもって報道されることのなくなった「福島第一原発」。
元旦と2日に、3月時点と同じレベルの大量の放射能が各地で測定されましたのですが、被災地ではない私達の周りでは、一部を除いて殆ど話題にも上っていませんでした。そんななか、フェイスブックで福島 南相馬のある主婦のブログを見て愕然としました。
彼女は8月以降ご自身の体に変調をきたしはじめました。はじめは腕のしびれから始まり、その後に歯が抜け、出血が止まらなくなり、髪の毛が抜け、最近では腕に原因不明の水泡ができ。。 私が書くより、実際のブログをご覧になったほうが分かっていただけると思います。
ぬまゆのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/kmasa924/27754577.html (URLは昨年10月彼女の腕にできた水泡の記事です)

彼女のすごいところは、その変調の原因を「原発事故によるものだ」というニュアンスで一度も書いていないことです。ジャーナリスト岩上安身さんによる本人のインタビューを見ましたが、彼女は「その原因に関しては後日分かること」とご自身の体に起きている事実を淡々と投稿されています。

このブログはネット上で多くの反響を呼んでいますが、それでもテレビや新聞では一切報道されていません。
また「これは本人ではない」「デマででっちあげ」という心ないコメントの人も多数いるそうです。
しかしこの方は本名と携帯電話をブログで公開し、かつ「放射能障害である」ということは書いていない。どう考えても彼女に利がある話しでもなく、また誰が好きこのんで女性が髪が抜けたことを喜んで丸坊主になるのでしょうか。私にはこの方が嘘をつく理由がどうしても発見できませんでした。
これから彼女がどうなっていくのか、また彼女と同じ地域に住んでいるたくさんの方々の不安を私はそのまま無視できません。

●そしてこれから
改めてお伝えしたいのですが、私は震災復興に関して「何も支援できていない」と思っています。被災地に初めて行ったのは7月ですし、震災直後にそこにあったであろう異臭や、道をふさぐ瓦礫、そしてその中に埋もれて亡くなった方のご遺体も見ていません。そしてそれは10カ月を経過した今となってはとても心苦しいです。
良くも悪くも現状は「まだ しかもこれから」の状況です。今さら何を・・という自責の念もありつつ、私にできることがあるならば、メディアに携わる人間として「まだ何も終わっていない」ということをネットを通じて発信しつづけていこうと決めています。

追伸:
今週末14日・15日に横浜で「脱原発世界会議」が開催されます。国内外から多くの方が出席、原発に対して話し合う大きな会議です。
14日には横浜でデモパレードもあり、妻とその他フェイスブックで知り合った方と歩きます。また15日には俳優山本太郎さんをご紹介いただき、可能な限りお話しをお聞きしようと思っています。政府やマスメディアによる「もう大丈夫」という風潮に対して私なりの意思表示をしていこうと思います。よろしければご一緒しましょう。

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