第282回 イヤな世相

130906
すみません。今日は朝から気分が悪いです。
先日行われた7日のIOC総会を控え、東京招致委員会は4日、ブエノスアイレスで初の記者会見を行った件について、当然のごとく海外メディアからは「福島の汚染水問題はどうなっている」という厳しい質問が招致委の竹田恒和理事長に浴びせられました。

当初は英語で書かれた文言を読んでいた竹田氏は、途中からタジタジになり、日本語に切り替えて説明。
その説明も「安倍首相が最後に政府として責任をもつと言ってくれているので大丈夫だ」という締めくくりだったそうです。

まあ、もともと矛盾だらけ、本当に深刻な問題を無理やり安全だと言っているのですから、私にしてみれば「今さら何をかいわんや」な話しですが、問題はその後のメディアの対応です。

原発を推進することを社説として掲げていた産経新聞の記事は『消えた長所「減点争い」に 東京は汚染水問題で苦境』として記事を発表。
これには頭にきました。

あの日以来、SNSでは原発の危機的な状況、政府及び東電のずさんな対応に関する問題が1日も欠かさず流れ続けています。
放射線量の発表数値のウソ、内部被ばくを避けられていない現状に全く耳を貸さずに、浮かれたように「アベノミクス」「三本の矢」「五輪招致」「原発再稼働」を謳っていたマスメディアが、海外メディアに突っ込まれた招致委員会を半ば突き放したような報道の姿勢を見せています。
あれ?産経新聞さんは確か「原発は必要だ」って言ってましたよね?なんでいきなり招致委員会だけ仲間外れにするの?

この「イヤな世相」が、今の日本全体に蔓延してる、そう思うのは私だけでしょうか。
イザとなると「責任は俺じゃない」的なスタンス。自分では矢面に立たないくせに、人の言うことにケチだけはつける。一億総「空気を読め」的な風潮。
弱い者は死ねといわんばかりの弱い者いじめ。行動せずに評論だけは得意な人々。「原発反対派は過激すぎる」とかいう根拠のない批判。

今日の産経の報道を見て、こういった「イヤな世相」は、結局のところ「経済=カネ」だけで繋がっているから、何か都合が悪くなるとすぐに途切れる関係性の中で生まれるものなのだ、そう思います。

清貧であれ、などというつもりは全くありませんし、オリンピックに来るな、なんて言うこと自体が悲しいし悔しい。
でも、いくら経済優先だとしても、その前に人間として危険性のあるかもしれないところにウソをついてまで招致するということに対して、どう説明をつけるつもりなんだろうか。
今福島で漏れている汚染水は、2200ミリシーベルト。4時間いたら死にいたる線量なんですよ?それをどうやって止めるというのか、まだハッキリもしてないのに、経済もクソもあったものじゃありませんよね。

あの日以来、本質的なものを日本はここまで見失ってしまっている。もしくは開き直って悪夢のような現実から逃避だけしているとしか思えない、そう思います。

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