花期花会

2019年07月17日第41回『地域イノベーター紹介-その8』

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回に引き続き、我が関心事、地域をデザインしているイノベーターを紹介します。

へぇ~、こんな面白い人が、こんな素晴らしい人が、いるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

「地域イノベーター」シリーズその8

今回の地域イノベーターは、千葉県夷隅郡大多喜町でボタニカル・ブランデーの蒸留所を開設したミトサヤ(mitosaya)株式会社の代表である江口 宏志(えぐち ひろし)さんです。

<江口宏志さん>

 

江口さんの経歴や蒸留所を開設した理由、その蒸留所の場所が、とてもユニークなので心惹かれました。さぁ、はじまり、はじまり。

最初に蒸留所の在る場所が素敵です。

千葉県夷隅郡大多喜町という古い城下町の中、2015年3月まで町が運営していた薬草園の跡地に、蒸留所が出来ています。

大多喜町薬草園は1987年に開園し500種以上の草花、樹木、薬草や漢方になる植物が植えられていて、それらのハーブや近隣地域で生産された果物を原材料に、ボタニカル・ブランデーを造るそうです。

※「ボタニカル」とは「植物の」または「植物由来の」という意味です。

<蒸留所の景色1>

<蒸留所の景色2>

 

江口さん曰く

「ここは、国産の果物やボタニカルを使った日本らしいブランデーを造るのに便利な場所です。更に、薬草園にある薬草をアクセントに使ったら、とても面白いことができるでしょう。」

江口さんの経歴ですが、蒸留の仕事を始める前は、『UTRECHT(ユトレヒト)』という小さな、著名な本屋さんを経営していました。

江口さんは『UTRECHT』を2002年に立ち上げて2015年に経営を移譲するまで、「小さな本屋の良いところは、店主の趣味趣向が反映できるところ」を実践して、本に関するイベントやご自身でも本を著したりしていました。

では、江口さんが、何故、大好きな本屋さんを辞めてまで、蒸留所を始めたのでしょうか?

それも本が導いたと江口さんは語ります。

「僕は視点のユニークなアートブックやZINE、雑誌などをセレクトしていました。ところが本が徐々に生活や食に根ざしたものに変わっていっているのが視え始め、それが世界的な流れなんだと感じました。」

そして、江口さんは或る記事を目にします。

ドイツの出版社を主宰するクリストフ・ケラー氏のことが書かれた内容で、本の企画、編集、デザインまで全てを自ら手がけるクリストフ氏が、代表を退き、蒸留酒を造っているという記事でした。

世界には本から離れて、こんな生き方をしている人がいるんだと衝撃を受け、偶然にクリストフ氏が造った「Monkey 47」というボタニカル・ジンに出合います。

「Monkey 47」は、ハーブやスパイスの香りが利いた豊かな味わいで、ラベルは活版印刷、裏にサインやエディションナンバーが記されていて、ボトル自体がアートブック。

江口さんは、「Monkey 47」に魅せられて、クリストフ氏の生き方に共感したのは2013年のことでした。

江口さん、家族の理解もあり、蒸留家を目指すべく、修行先に選んだのは、ドイツでした。2015年の夏からクリストフ氏のもとで修業を始めます。

そして江口さんが修業から戻ってきた2016年春に、日本での活動拠点を探していて出合ったのが、大多喜町薬草園でした。

<蒸留所の景色3>

 

江口さんが付けた蒸留所の名前は「mitosaya」。

その由来は植物の「実と莢」。

つまり、豆という意味。

しかし、もう一つあり、江口さんには娘さんが二人いて、お二人の名前を並べたらミトサヤです。なんと素晴らしい名前なんでしょう。

<写真集「家族」>江口さんの家族を1年間、撮影して作られた写真集。

 

江口さんは事業を始めるにあたって資金集めを開始します。

クラウドファンディングです。

目標金額は1,000万円。

なんとクラウドファンディングで募って集めたら、第一目標金額の1,000万円をクリアし、1,600万円以上も集まりました。

これまでの江口さんの生き方に共感する人や、蒸留所に期待する方が多くいたことがわかります。

江口さん曰く

「本作りとボタニカル・ブランデー造りは共通点があります。本作りは編集の後に紙選び、装丁、デザインなどを決める複合的なもの。

ボタニカル・ブランデー造りも果実や葉などの自然のものをどう表現し、どう加工し、どう蒸留したら良いか、パッケージは?など複合的なもの。

と自分は理解しました。」

<蒸留所のオープニング>

 

今年の1月11日に、江口さんとお会いした時、大多喜には未だ行ってないので、ボタニカル・ブランデーが出来た頃に伺いますと約束しました。

大いに、たのしみです。

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいと思います。

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「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

*1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

*1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会・分科会や本会議での研修講師や基調講演の講師をプロデュースしている。これは業界への恩返しと考えてのサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究。

*お節介していることは、全国各地のまちづくり・地域づくりの当事者やそれを紹介するメディアの編集者たちを、勝手に紹介・繋いだりすること。

*2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に多々掲載された。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員(前認定委員長)。

*その他、数店のお気に入り店舗(飲食店&本屋さん)の口コミ宣伝部長の名刺がある。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

*facebookでの発信は、多岐に渡る。

 

 

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執筆者

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鍋島 裕俊

(自称:折込広告研究所所長)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考える戦略セクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会)。
研究テーマは、(1)折込広告の全般研究、(2)折込広告史の研究、(3)新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。

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