花期花会

2019年05月09日第38回『地域イノベーター紹介-その5』

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回に引き続き、我が関心事、地域をデザインしているイノベーターを紹介します。

へぇ~、こんな面白い人が、こんな素晴らしい人が、いるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

「地域イノベーター」シリーズその5

今回の地域イノベーターは、ここ最近のキーワードになっている「流動創生」の生みの親、荒木幸子(あらき さちこ)さんです。

<荒木幸子さん>

地方創生、地域創生、地域づくり、まちづくりや、全国の各市町村で頭をかかえている高齢化・人口減少の解決としての移住推進の動きの中で、ここ数年に口に出る言葉、キーワードは「関係人口」と「流動創生」です。

「関係人口」については、特に雑誌ソトコトの編集長:指出一正さんと農業・漁業・畜産の生産者と都会の生活者を繋ぐ食べ物付きメディア食べる通信の創設者:高橋博之さんなどが語ったり書いたりしていて良く知られていますが、最近では総務省でも「関係人口」のポータルサイトを設けています。

「関係人口」の基本的な言葉の意味は、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。

もう一つのキーワード「流動創生」の意味は、これから紹介します。

「流動創生」の生みの親、荒木さんは、横浜市で1985年に生まれました。ご両親が東京生まれの転勤族で、帰るべき田舎を知らずに育ちました。大学で歴史学や文化人類学を学び、卒業し、普通に就職しましたが、3.11東北大震災を経験したことで、生きる方法を模索するため、今までの環境を一転させて、2013年から3年間、福井県南越前町の地域おこし協力隊になりました。

※地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度のこと。

3年目の2015年から荒木さんは、南越前町の委託を受け、地方創生事業として考え提案した「流動創生事業」の企画・運営を始めました。

では、南越前町の「流動創生事業」とは、どんな取り組みなのでしょうか。

日本は少子高齢化社会だと言われてからだいぶ経ちますが、人口が増えているのは一部の都市のみで、ほとんどの地域で人口減少が進み、それの対処として、ほとんどの自治体は移住者を呼び込む取り組み(東京でのイベント開催など)に奔走しています。自治体同士による取り合い奪い合いの様相を示していると言っても過言ではありません。

そんな中で、必ずしも移住を前提にしないで、流動人口(一時的にある場所に滞在している人口のこと)を増やすことで、地域での関わり合いを増やし、一人ひとりの価値を引き出そうとする取り組みが始まりました。それが「流動創生事業」です。

移住定住に限らず多様な形で地域に関わる外部人材(関係人口)に対し、多拠点居住や旅暮らしといった流動的なライフスタイルの実践を支援し、地域間の人材流動を図る事業。←私も若かったら絶対、参加して、こんな理想的な動きをしていたなぁ。

1.全国巡業企画RoundTrip(ラウンドトリップ)
主に都市部在住者7~8人で車に乗り合わせ、3~8地域を4日~2週間程度かけて巡る。各地では宿泊場所を無償で提供してもらい(1~2泊)、代わりに地域貢献活動を行う。

2.町内滞在企画StopOver(ストップオーバー)
主に都市部在住者が地域の拠点(元空き家の一般民家等)に無償で滞在し、代わりに地域貢献活動(援農、空き家改修、地域イベント等)に参画する。

3.情報戦略、流動文化醸成
都市部でのイベントの開催、実践者インタビューやブログ記事の公開等、社会情勢や都市部在住者の関心に応じて情報戦略を展開する。

<流動創生事業理念>

 

<多拠点活動のパターン>

荒木さんは、本当に価値あることを、本当に価値となる場所で生み出していくためには、常識や固定観念に左右されずに、一人ひとりが、すべきこと・いるべき場所・あるべき姿を求めて縦横無尽に動くこと、が大事であり、そのことを自治体が育てるための予算を出すことで、結果、その土地に対する愛着、ファンが作られていくと語っています。

注目してください。流動創生の取り組みは、南越前町だけでなく、これからは全国の他の地域にも拡がっていくことでしょう。

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

*1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

*1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会や本会議の基調講演講師のプロデュースを業界への恩返しと考えサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究、④地域づくり、など。

*2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に掲載。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

*facebookでの発信は、多岐に渡る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

執筆者

image100820.jpg

鍋島 裕俊

(自称:折込広告研究所所長)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考える戦略セクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会)。
研究テーマは、(1)折込広告の全般研究、(2)折込広告史の研究、(3)新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。

最近の記事

バックナンバー

関連リンク

funsite
Fun-site Ltd. © All Rights Reserved.

ページトップへ