花も実もない! Marketing One Hit Shot

2011年07月21日第210回『3:11で露呈した2つの負』

▼専門性と上から目線

 3:11以来、露呈した負の側面は、私たちの業務と関連づけて見ると、大きくは2つではないでしょうか?
 一つは「専門性」の問題です。もう一つは「上から目線」です。この二つはお互い絡み合っているようです。
 まず専門性についてです。かつて社会学者D:ベルは情報化社会では、電話帳の厚さが2倍になると皮肉っていました。理由は、専門が多岐に枝分かれして分野が多様化し結果として電話帳が厚くなるのです。
 あるジョークですが、長年煩っていた患者が名医の診療を受けたら、簡単な診察で治癒させることが出来た。患者は感謝、また簡単な治療だから治療費もわずかではないか?と思っていたら、思いがけない金額が請求されて来たのに驚き、早速抗議。しかし、名医曰く「病気を治す最善を尽くしたのだから、請求金額は正当」と抗議を退けたと言います。
 卑近な例で言えば、かつては写真撮影と言えばカメラマンの費用で済んでいましたが、今ではカメラマン、アシスタント、照明マン、スタイリスト、小道具・小もの係、メイクアップ、ヘアメイク、プロデュース、ディレクターズ、進行・連絡etcと10倍以上の専門家が関わる次第となっています。言って見れば多少とも高く売れる仕掛けとして専門性が利用されているのかも知れません。
 これは私たちの業界に限りません。
この結果何が起きるのか?簡単に言えばお互いに意志が通じない、価値の共有がない、などからのてんでんばらばらの混乱です。そしてこの専門の壁が高くなるほどに本質が見えなくなっていくことだったと思います。
今度の原発や被災地復興、原発処理などは、その最たるものでしょう。
「手術は成功したが、患者は死亡した」では洒落にもなりません。
「専門性」について言えば、私たちは再度私たちの専門性とは何か?を、問うステージを迎えていると思われます。

▼ 知への偏重が上から目線を過剰にする

  もう一つの「上から目線」です。
個人的な話で恐縮ですが、最近発売された「某新聞社」のデジタル版に強い購買意欲を持っています。案内PRを読み早速ULへアプローチしてみました。しかし、申し込みは控えています。理由は決済方法です。
新聞購読は銀行口座引き落としですが、申し込みにはカードナンバーの入力も条件です。
これは私の意には反します。カードナンバーは決済方法の一部に過ぎません。当然、支払い方法は変えたくない、カードを使いたくない、カードを持たない顧客もいるはずです。某紙の売り方は顧客の消費行動への不勉強、あるいは顧客への利便性についての目配り不足。あえて言えばカードを契機とした取引の変更を強制するものでしょう。
一元的な情報の授受は企業サイドでは便利かもしれませんが、生活者は多様な選択肢のなかでの利便を望んでいるのです。こうした生活者への無理解は多くのオンラインサービスで見られることです。
 同様の無理解は被災地での都市復興計画です。おそらく一流の建築家が様々な分析手法やシュミレーション技法により、コンペに参加していることでしょう。しかし、仄聞するところ相変わらずの箱物提案の域を出ていない気がします。
コルビジエは、世界文化遺産の価値があるのかも知れませんが、「輝く都市」はもはや過去の発想です。「輝く都市」への信仰は、日本中に小手先の都市を未だにばらまき、暮しに不向きな街はを誕生させています。

▼酒なくてなんで尾上の桜かな

 白地図に線を引き、空間を機能分化させ負の少ない効率の良い都市を造る・・真にけっこうデス。しかし、人の暮しは機能的な側面ばかりではありません。
被災地の人々は、先端技術が凝らされた高層マンションに住みたいのでしょうか?都市計画家や行政が描く効率的な生活に満足できるのでしょうか?
土地から、文化から、風土や歴史から切り離された暮しは幸せか?考えなくても判ります。花を愛でるのは、花を取り巻く文化をも花以上に楽しむことは当たり前。
高度な消費文化を享受している都市生活クリエイターや頭でっかちには地域の土着的な暮しや故郷への愛着には思いが至るわけがありません。
自己の作品を通じて「地域文化を引き上げる」などと本気で考えていたら思い上がりというものです。
 暮しは上から目線で活性化するものではありません。そして、よりよい暮しとは何か?について早急に結論を出せるものでもありません。
 日本の海岸線は、里山と同様、日本の民が自然と折り合いをつけながら何百年の歴史を通じて作ってきた産物です。
 危ない、危険、安全だけを考える小児発想の過度な要塞都市を造るより、自然に寄り添って暮しインフラが優先的に策定されねばならないと思います。
 動物学者J/グールドは、「人の心を動かすのは、知力ではない」と語っています。私たちは謙虚に辛抱強く、相手から学ぶことで初めていくつかの相手に伝わる物語が生み出されるとも・・・。急ぐことも必要ですが、じっくりと辛抱することもこれからのクリエイティブには大切でしょう。
いろいろ不幸は続いていますが、基本は「愛着が生まれる環境づくり」で、これこそ本当のインフラです。
 本校を執筆中に、経済界と経産省の謀略が明るみに晒されました。
命よりも金だ!の論理は通用するでしょうか?「国民よ、経済のために命を捧げよ!」
なんて・・・「私たちは経済マゾでしょうか?ご主人様」

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執筆者

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宇田 一夫

ファンサイト有限会社 顧問/コミュニケーションプロデューサー

1939年3月生まれ。 早稲田大学第一文学部史学科西洋史卒。
1962年株式会社博報堂、株式会社日東エイジェンシーなどを経て、株式会社エイムス設立。アカウント・プランナーとして「コミュニケーション&マーケティング」を課題に各種キャンペーン・プロジェクトを企画・プロデュース。
2005年愛知EXPO中央アジア共同館(ザ・グレート・シルクロード)プランナー
東洋美術専門学校視覚伝達学科講師

【賞】国際見本市、日経新聞・日経産業新聞・日経流通新聞・ショッピング他などで受賞

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