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第169回『逆転の妄想』

▼世間を敵にした建設推進派

今年後半の話題は八ッ場ダムの建設中止ではないでしょうか?
ダム建設の中止を明言した前原国交相と地元住民との意見交換会は「中止ありき」では話にならないとする地元民の考えで実現しませんでした。
57年間紆余曲折のあったと言うこの問題は、当然のことながら根が深いことでしょうから、門外漢が口を挟む余地はないかもしれません。

しかし、TV映像でみる限り、申し訳ないとは思いますが、ダム建設を推進したいとする地元の人々は「地域エゴ」の固まり、目先の利益で他はどうでもいいと言う自己主義をにじませているようで、ひたすら対話を求めていた大臣に比べどうも役柄が悪いと思ったのは私だけでしょうか?また役者ぶりも地元の顔役風で利権にしがみついた欲の亡者とも映りました。

人の気持ちは同じようで、ダムのある長野原町の役場には一晩で4000通のメールが殺到しその8割が建設推進を求める地元に対して批判的な内容とか(朝日2009/09/26)。
風は地元の利権代表者にとってはどうやら逆風のようです。

▼ダム湖観光になぜしがみつくのか?

不思議なことは「生活再建」=「ダム早期完成」と言う、私にはまったく理解できない発想です。
またすでに3200億円が投入されているから、中止するのは無駄、だから事業予算の残金を使いきって事業を完成すべきだという考えも奇妙ではありませんか?
仮にこの考えに基づきダムが完成したら「生活は再建」されるのでしょうか?
例えば群馬県の生活再建案「ダム湖のほとりの温泉街」。さらには「ダイエットバレー構想」などの観光振興策です。
なんともどうしようもない策でこんなお粗末な策で成熟した観光市場に地歩を得ようとするのはあまりにいい加減と言わざるを得ないでしょう。

同じ群馬県で完成したダムに移転した猿ヶ京温泉を見ればダム湖と温泉街がセットとなった観光開発がほとんど魅力となっていないことはあきらかなようです。
要は長年のもやもやが取れただけで、気分は落ち着くかもしれませんが、この長野原一帯の価値が増したとは思えません。

▼イメージの観光マーケティングを

そもそも歴史ある観光地は衰退を続けてきており、このダムの底に沈む予定の川原の湯温泉も例外ではありません。
うがった見方をすればダム開発を機会に親方日の丸の利を得たり、立ち退き料をせしめて貧乏から一抜けするというのがホントのところでは・・・?!
生活再建が観光によるものとすれば、地元は温泉とかダムとか、もはやどこにでもある観光資源依存しない、開発を考えねばならないでしょう。
 
方向性は大きくは4つです。ひとつは「ソーシャルマーケティング」、第二は「非営利のマーケティング」、さらに「イメージのマーケティング」そして「地理的マーケティング」です。
このコラムで、それぞれを説明する紙数はありませんが、とりわけ大切のは「イメージのマーケティング」だと思います。

▼ダム中止は地域活性のビッグチャンス

考えてみればわかることですが、このダム中止は、この地域に大いなる資源を提供しています。
一つはダムに沈まずに済んだことです。その結果、渓谷美という景観が保全され、同時に渓谷の生態系も維持されたことです。また温泉の源泉も失わずに済みました。
この川原の湯は東京に近いこともあり文人墨客に愛された湯であり、同時に絹で栄えたこの地区の文化も受け継がれることにもなった、などです。
以上は過去の遺産的な資源の話ですが、さらに重要なことは、57年の苦悩の歴史です。そして、この騒動により一挙にこのダムの知名度が日本中に浸透したことです。そして「中止」は乱開発の愚に抗した知恵の成果かであり、環境の時代のシンボルとも成り得る、いわばこれからの観光開発のフラグシップともなりえるはずです。
9:11のNY、古くは敗戦後のヒロシマ、ドイツのホロコーストなど不謹慎の批判は承知ですが、これらの悲惨が強烈なメッセージとなって世界から人を呼んでいることは現実です。
こうした事柄と比べるべくもないですが、しかしこの地区は世界に発信できるだけのメッセージ性を孕んだのではないでしょうか?このことは「イメージのマーケティング」にとっては最高です。

今世界は、意味に飢え、新たな豊かさを求めています。マーケティングは人々の不満に応えることです。
この夏、個人的にはいくつかの東京周辺の観光地に赴きました。そこで感じるのは時代遅れの考えが、荒廃を招くか?札びらだけの開発が人心に響かず、もはや投資効果を生まない現実です。
幸い、現政権は観光に注力するそうです。八ツ場の人は、国費の導入や補助金の確保を目論むのではなく、もっと大きなソロバンで外部資源を呼び込み、世界に評価される地域振興モデルづくりこそを、目指してほしいと思います。
災いをチャンスとする逆転の発想ならぬ、妄想かもしれないですが・・・・。

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