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第940号『私的映画TOP10』

コロナが始まってかれこれ3年目に突入する。

そろそろ収束かとの噂もあるが、根拠のない希望的観測ともとれる。

どちらにしても、予防対策をしつつ外出を控えるという流れは、もうしばらく続くのだろう。

そうした中でも、やはり映画は映画館で観たい。

来月にはアカデミー賞の発表もある。

昨年3月以降、今年2月現在まで、映画館で観た私的TOP10を記載する。

1.『コーダ あいのうた』

シアン・ヘダー監督作品

2022年1月公開

2021年サンダンス映画祭グランプリ・観客賞・監督賞・アンサブルキャスト賞と史上最多4冠を受賞した。

余談だが、サンダンスで賞を獲得した作品にハズレ無し。

これまで、コーエン兄弟、ステーヴン・ソダーバーグ、デイミアン・チャゼルと、ここから新たな才能が花開いていった。

さて今作『コーダ あいのうた』は、家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題をも力に変えていく姿を清々しく描いたヒューマンドラマである。

海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。

ただ少し他の高校生と違うことは、家族の中で1人ルビーだけが耳が聞こえるということ。

幼い頃から家族の耳がわりとなったルビーは、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。

新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。

家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するのだが・・・。

テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、『愛は静けさの中に』のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じる。

監督は『タルーラ 彼女たちの事情』のシアン・ヘダー。

タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。

2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネート。

ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初めてオスカー候補となった。

2.『名付けようのない踊り』

犬童一心監督作品

2022年1月公開

『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『のぼうの城』の犬童一心監督が、世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと日々の暮らしを追ったドキュメンタリー。

1978年にパリでデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現してきた田中泯。

2002年、映画『たそがれ清兵衛』山田洋次監督作品から始まった映像作品への参加も、いまや日本のみならずハリウッド映画にも出演するまで広がっている。

40歳の時、畑仕事で作り上げた身体で踊ることを決めた田中は、74歳でポルトガル・サンタクルスの街角で踊り、「幸せだ」と語る。

どんなジャンルにも属さない田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』から親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、山梨、福島などをめぐり撮影。

今作では、第75回アカデミー賞ノミネート作品『頭山』で知られる山村浩二による、田中泯の幼年時代を描いたアニメーションも秀逸である。

3.『デューン・砂の惑星』

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品

2021年10月公開

興行収入:399,064,537米国ドル

SF小説の古典にして伝説、フランク・ハーバート作「デューン/砂の惑星」は映画原作ものの中で、最も実現不可能と言われていてきた。

1984年のディヴィッド・リンチ監督版も傑作の誉れ高かったが、今作は『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、かつての先達に恥じぬ作品として蘇させた。

主人公となるポール役を『君の名前で僕を呼んで』ルカ・グァダニーノ監督作品の主演ティモシー・シャラメが務めるほか、『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『アクアマン』のジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンら豪華キャストが集結。

2022年・第94回アカデミー賞では作品賞をはじめ計10部門にノミネートされた。

映画だかたらこそ、実現しえたスペクタクルである。

4.『ディア・エヴァン・ハンセン』

スティーヴン・チョボスキー監督作品

2021年11月公開

トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞、エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルを映画化。

監督を『ワンダー 君は太陽』のスティーブン・チョボウスキーが務め、ミュージカル楽曲を『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』『アラジン』など大ヒットミュージカル映画に携わってきたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当。

物語は、学校に友達もなく家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが自分宛に書いた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。

数日後、そのコナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。

悲しみに暮れるコナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語る。

エヴァンの語った嘘のエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていく、そして・・・。

エヴァン役はミュージカル版でも主役を演じたベン・プラット。

その歌唱力に驚き、心に熱いものを感じた。

5.『サマーフィルムにのって』

松本壮史監督作品

2021年8月公開

元「乃木坂46」の伊藤万理華(TXのドラマ「お耳に合いましたら。」でも好演)が主演で時代劇オタクの女子高生ハダシが映画製作に挑む姿を、SF要素(時かけもの)を織り交ぜながら描いた青春ストーリー。

監督は、今作が長編映画初となるCM製作出身の松本壮史。

主人公、高校3年生のハダシは時代劇映画が大好きだが、所属する映画部で作るのは甘ったるい青春ラブロマンス映画ばかり。

自分の撮りたい時代劇がなかなか作れずくすぶっていた彼女の前に、武士役にぴったりの理想的な男子、凛太郎(金子大地)が現れる。

彼との出会いに運命を感じたハダシは、個性豊かなスタッフ(河合優実、祷キララ、板橋駿谷)を集めて映画制作に乗り出す。

まさしく、映画づくりの楽しさがキラキラと光輝ている佳作である。

6.『アメリカンユートピア』

スパイク・リー監督作品

2021年5月公開

元「トーキング・ヘッズ」のフロントマンでグラミー賞受賞アーティストのデビッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」がベース。

この原案をもとに作られたブロードウェイのショーを、『ブラック・クランズマン』や『マルコムX』のスパイク・リー監督が映画として再構築したのが今作『アメリカンユートピア』。

同アルバムから5曲、トーキング・ヘッズ時代の9曲など、全21曲を披露。

バーンを中心に様々な国籍を持つ11人のミュージシャンやダンサーとともに舞台の上を縦横無尽に動き回り、ショーを通じて現代の様々な問題について問いかける。

クライマックスでは、ブラック・ライブズ・マターを訴えるジャネール・モネイのプロテストソング「Hell You Talmbout」を熱唱する。

パントマイムや前衛パフォーマンスの要素も取り入れた斬新な振り付けを手がけたのは、過去にもバーンの舞台を手がけたアニー・B・パーソン。

ピーター・バラカンが日本語字幕監修を担当している。

余談だが、デイヴィッド・バーンは1952年生まれの70歳。

僕と同年。

今作を観て、彼のクリエイティブに勇気を貰った。

7.『竜とそばかすの姫』

細田守監督作品

2021年7月公開

興行収入:6270万米国ドル

『サマーウォーズ』『未来のミライ』の細田守監督が、超巨大インターネット空間の仮想世界を舞台に少女の成長を描いた長編アニメーション。

舞台は、高知県の自然豊かな田舎町。

17歳の女子高生すず(中村佳穂)は幼い頃に母を事故で亡くし、父(役所広司)と2人で暮らしている。

母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。

ある日、友人に誘われ全世界で50億人以上が集う仮想世界「U(ユー)」に参加することになったすずは、「ベル」というアバターで「U」の世界に足を踏み入れる。

仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。

そんな彼女の前に「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。

主人公すず/ベル役はシンガーソングライターとして活動する中村佳穂がその素晴らしい才能を開花させている。

また、謎の存在「竜」の声は佐藤健が務めた。

さらに、ベルのデザインを「アナと雪の女王」のジン・キムが担当するなど、海外のクリエイターも多数参加している。

倅、川村元気も『未来のミライ』につづき企画で参加している。

8.『いとみち』

横浜聡子監督作品

2021年6月公開

“いとみち”とは三味線を弾くときに指にできる糸道のこと。

主人公、相馬いと役(駒井蓮も津軽出身)はそんな名前の由来をもつ、青森県弘前市の高校に通う女子高生。

特技は祖母と今は亡き母譲りの津軽三味線。

津軽三味線の名手で祖母役(西川洋子は津軽三味線の巨人、高橋竹山の最初の弟子でもある)と東京出身で民俗学の大学教授の父役(豊川悦司)との3人で暮らしている。

だが、強い津軽弁訛りと人見知りのせいで、本当の自分は誰にも見せられずにいた。

そんな自分を変えたいと、ある日思い立ってはじめたアルバイトがメイドカフェ。

ちょっと変わった店長、先輩メイドの一人でシングルマザーの幸子、そして漫画家を目指す智美、常連客たち。

今作は、いとの成長・仲間たちの成長・家族の成長という3つの物語が描かれている。

圧巻は主人公いとが、メイド服で津軽三味線をかき鳴らし本当の自分を解放する瞬間。

ちなみに、横浜聡子監督自身も青森市出身である。

9.『ドライブ・マイ・カー』

濱口竜介監督作品

2021年8月公開

興行収入: 340万米国ドル

昨年第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞ほか全4冠に輝き、今年度第94回アカデミー賞4部門(作品賞は日本作品としては初めてのこと)にノミネートされるなど、話題騒然の作品である。

原作は村上春樹著『女のいない男たち』の一遍である。

主人公(西島秀俊)と妻(霧島れいか)との記憶が刻まれた車、スウェーデン製のSAABサーブ900。

最後まで妻に聴けなかった秘密、孤独を抱え辿り着く場所、そして再生へと向かう主人公の姿に少し希望を持つことができた。

映画と呼応するような原作の中の一文である。

”本当に他人を観たいと望むなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。僕はそう思います。” 

10.『少年の君』 

デレク・ツァン監督作品 

2021年8月公開 中国・香港合作

興行収入: 15.58億人民元 (約243億円)

いまの中国でも起きている壮絶ないじめ、苛烈な受験戦争、ストリートチルドレンなど過酷な社会問題を描いた青春物語。

優等生の少女(中国で13億人の妹との愛称で親しまれる『サンザシの樹の下で』チャン・イーモウ監督作品のチョウ・ドンユィ)と不良少年(アイドルグループ「TFBOYS」のイー・ヤンチェンシー)という対極的な存在でありながら、それぞれに孤独を抱える二人のあまりにピュアな叫びが心に突き刺さった。

第39回香港電影金像奨で作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を受賞。

第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネート。

やっぱり映画は面白い。

しかも、劇場でとっぷりと浸かって観るのが最高だ!

さて、今週末も映画館へ出掛けるとするか。

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