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2010年02月 アーカイブ

2010年02月04日

第176回『JALに思う』

JALが倒産し、株が紙屑となりそう、子会社が削減される、OBが年金の減額に同意した、お客のため込んだマイレージはどうなるの?
2010年年明けの最大の話題ですね。
再生JALのCEOにはあの稲盛さんが・・・。
そんなわけでJALについて考えてみました。

▼考えてみるとJALって何なの?ということです。

航空業界のことはまったくのど素人ですが、鶴と日の丸を取り去ったら何ら特徴のない飛行機会社ではないでしょうか?。
確かに戦後日の丸を着けた飛行機が世界の主要都市に飛び立って行ったのは、敗戦で自信を失っていた私たち日本人にはある種の誇りでしたが、しかし、これは世界の視点から見ればどうっていうことのない当たり前のことに過ぎません。
独立国で経済先進国の多くはそれぞれのフラグシップエアラインは持っていますから、極端に言えば、世界の航空市場に参加しただけ、オリンピックに似ている気もします。

▼スッチーに憧れたオンリーイエスタデー

当時の男子にとってはかっこよく、高給、しかも世界を飛び回れるパイロットは憧れの職業の一つだったし、キャビンアテンダントはスッチーと呼ばれて、通常の暮らしからは群を抜くライフスタイルが可能なセレブな存在。
女の子にとってはなりたい職業のひとつ、一時は人気タレント並みにもてはやされましたね。
「ドジで間抜けな女の子が世界に羽ばたいていく」ドラマは人気のひとつでもありました。これらはいずれもJALがらみ。舶来に弱い庶民にとって世界を相手として商売するJALは輝かしい存在でした。
しかしこうしたJALへの評価は、あくまでも当時の貧しい日本の大衆目線のもので実体はどうだったのか?です。

▼飛行機も、マネジメントもサービスもみな借り物

飛行機は、自前ではなく主に米国企業から購入したもので、飛行技術もそれら企業から指導されたものです。
市場開拓にしても国の国交の流れに則ってルートを得て行ったに過ぎません。
そんな訳で、世界の他の航空会社がいずれも競争市場へと向き合わねばならないときに、ほとんどオリジナルなものがない無策、無手勝のママで競合に晒されたことはJALにとっては不幸なことでした。
そしていまでもこうした無為無策の依存体質を吹っ切れないでいるのは、驚くべき事と言わざるを得ないでしょう。

▼日本人の固有のきめ細かいサービスやホスピタリティって?

日本人は優秀と自称していますが、過去を振り返り何を生み出したでしょうか?
戦後日本人の器用さ、きめの細かい心遣いは、日本人にしか出来ないものと、と言われてきました。しかし、それは本当か?
徐々に私たちに世界が開かれてくると、こうした自信は儚い幻想に過ぎなかったと思います。
ヤマトナデシコへの憧れは、男尊女卑時代の、フジヤマ、ゲイシャの残映です。
売り物である「きめ細かいサービスやホスピタリティ」は、実際においては何一つ特徴的で優位性のあるものでなかったのです。
一方、世界ではサービスについて科学的なメスが入り、サービスの発見とそれの可視化が進行していったのはご存じの通りです。例えばSASは「真実の瞬間」で顧客満足度を武器に再生を果たしました、バージンアトランティックは「特別な感動」をサービス商品として打ち出しました。デルタ航空はサービス格差を主張し、合理的なビジネスマンのニーズ答えて生き延びています。

▼無理・無駄・むらの排除だけでは行き詰まり?

それでは、、再生JALの切り札は何でしょうか?
子会社削減や人員整理などという合理化レベルでは再び国の支援を仰ぐようになることは火を見るように明らかです。
JAL再生への処方箋はひとつは、世界市場においてオンリーワンを創ることだと思います。それには発想の転回が必要で、そうした方向にはGEが取り組んでいるリバースイノベーションもありではないでしょうか?
21世紀になって大きく変わったのは日本、アメリカ、EUなど先進国が成長という観点ではその他の地域として大きくは期待できない低成長地域となったことでしょう。

▼リバースイノベーションはひとつのヒント

成長著しい中国、インドはむろんいま最貧国と言われる国々にこそ市場の機会が潜在していることが理解され始めています。GEはそこに着目し、「低価格高機能」を実現してそれをリバースマーケティングと呼び、世界優位を築こうとしている言われています。
移動は人類の基本ニーズの一つですが、このニーズはグローバルに考えるとほとんど満たされていません。
お金を持っていない人は相手にしないという考えもありますが、同時にお金のない人とのビジネスでしっかり利益を上げていくことも考えられていいことです。
そのためには従来の発想からの転換戦略の必要なことは当然です。
市場は量で決定されます。そしてこの量の市場のこれからは貧しい人々で成っていきます。そうした市場をターゲットに、貧しい国の、貧しい人々にとっての「よい航空サービス」とはなにか?
苦境のJALは考えてみる必要がありそうです。
老人のビッグマウスと、言われるのは承知ですが、これはJALに限らないのでは・・・・と思います。

2010年02月18日

第177回『企業が実需をつかめないわけ?』

▼「100年に一度の未曾有の危機」!?

 経済全体の大きな視野から見れば、「100年に一度の未曾有の危機」であることはその通りかもしれません。しかし、もう少し目線を下げて回りを見渡すと、本当にそうなのか?疑問に思えます。
 例えばJALの倒産、コンビニの不調、西武有楽町の閉店に見られる百貨店の売り上げ低迷など不況の表れとして言われていますが、こうした企業や業態の不調は不況に伴う消費の縮小が原因でしょうか?
 身の回りのことで恐縮ですが、私の住まいのそばに生協があります。そこも確かに元気がありません。しかし、それは旧来のお客であった私たちが、財布の紐を締めているからではなく、私たちの求めるモノが無いからです。主婦の声では、「まずい、高い、欲しいモノがない。でも近くに店がないから仕様がなく行く」店が生協です。
コンビニも同様です。近くに大手のCVSが軒を接して出ていますが、すべて生協に同じ。誰が行くの?です。

▼消費者のニーズとのミスマッチ

 一方、客を集めているのが、積極的にお客の声に反応している小規模な路面店です。
また中規模のこだわりのある専門店やスーパーです。
そこでの商品は必ずしも安いわけではありませんが、「安心」だからです。「安心」にはいろいろ意味があります。
 高齢化や少子化、さらにはゴミ問題と暮らしは変わってきています。
そうしたことを背景に、人々は「安い買い物」は避け、「安心」を求めています。
安く買っても不味ければ残す。沢山買っても食べきれない、廃棄すればゴミが増えるなど、結局は高価な買い物となってしまい本当の「暮らしの安心」には結び使かないからです。
このように食卓、衣料、住宅などで求めるモノが変わっているにもかかわらず店側では生活者の欲しい「安心」にはまったくの無頓着。せっかくの実需をつかみ損なっているのが「売れない」原因の大きな理由です。

▼H&M、イケア企業の強さの秘密は・・・?

 いま勝ち組企業としてユニクロを上げるのが常道ですが、しかし1店舗あたりの売り上げは「ユニクロ」、「しまむら」を倍以上上回る企業が日本にも存在しています。それはH&MやIKEAです。雑誌からの情報ですが、H&Mは09年度2店舗で約90億円の売り上げ。現在計5店舗で約90億円から100億円の売り上げになると予想されていますし、IKEAの方は、日本法人の売り上げは5店舗で約500億円を上回る見込みだそうです。いずれもファッション性と手頃な値段を武器に日本の消費者を掴みつつあります。 そしてこの二つの企業は、構造不況と言われて長いファッション業態と家具業態での業績であることも見逃せません。実需がないのではなく、それをいままでの企業が掘り起こせなかったのではないか?とも考えたくなります。
 この2つの企業の強みはなにか?ですが、一般的には両者に共通する点は徹底的なローコスト物流戦略とIT駆使による「市場に合わせた最大公約数的なオペレーション」とされています。そしてH&MはSPAでありながらファブレス(自社工場を持たないこと)で世界約20国にある協力工場約800社を利用してのローコスト経営。またIKEAも同様で世界50国に1250の協力工場を持つて商品の供給を効率的に行なっていることが理由です。

▼お客の声に耳傾ける経営

 しかし、私的に注目するのはファッションやデザインとお客の嗜好の変化やニーズを把握するソフトでの技術です。
 かつて国際羊毛事務局から仕事を頂いているときに、手編み市場についての勉強で北欧のオスロ、ベルゲンに出向いたことがありました。厳寒の季節であったため、人々は防寒服に身を包んでいましたが、その下はセーターというのが通り相場でした。北欧のセーターと言えばノルディックセーター。絵柄は雪の模様やトナカイなど、また基本の色は赤・紺、白の組み合わせです。こうした定番ファッションに流行はあるのか?と素朴に思っていましたが、実際は各ノルディックセーターのメーカーはデザイナーを生活現場に派遣し毎年ファッション変化と嗜好を調査して流行を提案しているのでした。

▼誰が何を聞くのか?が勝負

 H&MにしろIKEAにしろデザイナーの役割が矢張りキー。そして彼らが本部スタッフとして商品企画からデザイン、各国にある生産工場への振り分け、物流の手配などを一手に担う仕組みだそうです。そしてこの仕組みを支えるのがH&Mでは店頭情報と世界中の都市にデザイナーを送り込んで行なう、「インスピレーショントリップ」というデザイナーによるタウンウォッチング。またIKEAでは個別の消費者宅訪問調査です。
まさにかつて私が側聞した北欧のマーケティングの愚直な実践です。
 もちろんお客の声を聞くことは、どこでもやっていることだとは思いますが、しかしこの声の真実を聞くことは思う以上に困難です。
 とくに多くの企業は「量」をベースとした思考には慣れていますが、今のように変化の時代には反対に「小さく考える」ことに慣れる必要があるようです。
この2つの企業の成果のいずれもが表面的には量に結びついていますが、しかし実際は「個」と言う「小さい」声に耳傾けた結果でしょう。
 いずれにしろ%テージや歩留まりでしかデータを信用できないのでは、これからの時代生きていくことは難しそうです。個人や個客の思い込みやこだわりを聞ける仕組み作りこそマネジメントは重視すべきです。
 それには先ず、ヒエラルヒー発想や組織ベースの「思考革新」が前提ですが・・・。

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