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2008年03月 アーカイブ

2008年03月06日

第130回『女たちの神楽坂』

先日、神楽坂で旧友達と昼飯を食おうと言うことになりました。
平日の昼でしたが、人通りが多く、しかも女性達が大勢。
表参道ほどではないにしろ結構な賑わいです。
噂では神楽坂人気は聞いていましたが、まさかこれほどとは!

ご承知のように神楽坂は古い色街。
女性が徘徊する街イメージにはほど遠い所と思っていたのは迂闊でした。
いま神楽坂が人気を呼んでいるのは何故だろう?
しかし考えてみると成る程、女性を惹きつける魅力に足る街だと思い至りました。

それは巣鴨のとげ抜き地蔵通りが老人達の原宿とするならば、ここ神楽坂は30歳過ぎた熟女たちの原宿ではないかと言うことです。
かつての原宿は、ピンはセレブに、キリはガキに占拠されてしまった結果、彼女らは取り敢えずここに避難してきた「おしゃれ難民」ではないか?です。

巣鴨、神楽坂の両地域に共通するのは、まず神社やお寺があり、それを中心にストリートが形成されていること。
そのストリートに沿って食や買い物を楽しむ店施設のバラエティが豊富で「何でもあり」なこと、それぞれの店がそれなりの個性とこだわりをもっていること、そして多くの店は歴史性と下町らしい庶民性を備えていることなどでしょう。

が、一方神楽坂には巣鴨と大きく違う点があります。
例えば、かつては男が遊んだ悪所の伝統と路地の迷路が醸す多少謎めいて危険な「やばい」匂いであり、それは情報耳年増にはちょっとした冒険への期待・予感となっている気がします。そうした「やばい」非日常性を楽しむには一人では不安。
しかし仲間連れなら安心して気軽に楽しめる。
そこで街は、ちょっぴりグルメで、おしゃれで、おしゃべりをも多いに楽しめる店を用意。
こうしたことが、大人の女性にとっての魅力となっている気がします。
最近目にした資料では「30歳台以上のシングル女性の70%はカレ氏がいない状態」だそうです。
それでは彼女らが恋愛を拒否しているのかと言うと逆。
本音では恋のアバンチュールには好奇心旺盛です。
そんな彼女らが仲間と日中おずおずと徘徊するのが夜は恋人達や不倫の舞台となる神楽坂。言ってみれば昼の神楽坂は安全に好奇心を満足させてくれる、「やばい」&「おとなのくつろぎ」時間が楽しめるシングル女性達のコンビニエンスなストリートなのです。

いまレストランやバーなどの外食ビジネスには明るい材料が少なく、大手ほど経営は失速気味です。
こうした状況を打破するには従来の経費節約型の施策一辺倒では困難でしょう。
例えば目前の4月からの新年度。
お客様には、どのような企画を提案し収益を確保しようとするのでしょうか?
昨年好評だった企画は、そのまま通用するでしょうか?
お客様と一口に言っても若い人、カップル、シニアなどライフステージにより経験体験も期待もそれぞれです。
仮にシングルの女性達に的を絞るのなら、キーワードは「うまい」「やすい」に加えて「ミステリー」「はらはら」の「やばい」ではないか?

こうした価値は従来の価値観ではマイナス。
でもパラダイムシフトには冒険が必要。
甘美な官能的な女達の神楽坂を下りつつちょいワルにはなれない私はかく思った次第です。

2008年03月20日

131回『「ソフトパワーを生む」環境』

いよいよ市場が冷えてきたのが、肌で感じられるようになりました。
リセッションという言葉がリアリティを持ってきた気がします。
景気が悪くなると必ず言われるのが「経費の引き締め」と「ソフトパワーの発揮」。
経費の引き締めはともかくとして「ソフトパワー」については正直判ったようでよく判りません。
もちろん言っている意味は「頭を使え」「知恵を出せ」「サービスにより磨きをかけろ」と言うことだとはいかなボンクラの私でも理解できます。
しかし、実際にどうしろ、と言うのでしょうか?

例えば「サービス」です。サービス業によく見られるのは朝礼での「おはようございます」、「いらしゃいませ」、「ありがとうございます」の大声を出して行う斉唱です。
これはこれで長い間の慣行で、販売意欲を向上させる、やる気を示す、元気で明るいサービスを印象づけるなど、それなりの効用はあると思います。が、この機械的でステレオタイプなスマイルや挨拶の復唱が「ソフトパワーの発揮」に役立つのでしょうか?

敢えて言えばこうしたことこそが「ソフトパワーの発揮」への環境の対極にある土壌ではないか?と思います。
何故ならソフトパワーの源は「異質性」「複数性」を認めることにあると思うからです。
また「ソフトパワーは変化を生む力」です。

先日NHKのプロフェッショナルと言う番組で「三つ星」のシェフが登場していました。
まだ33歳の若いシェフでしたが、彼はフランス料理の伝統のあるフランスで修行を積みつつ従来のフレンチとは別の発想によるフランス料理に挑戦。
その折りに出会った師匠の教えである「毎日同じことはやらない」を自らに課している、また自分を他者の目に曝すよう仕事仲間との触れあいを大切にし「積極的にコミュニケーション」を取るよう心がけている、と語っていました。
まさに彼の行動は「日々是新」づくりであり、「ソフトパワー」の実践者と言えると思います。

「サービスの瞬間」が15,6年前に、時代を風靡しましたが、この思想は果たして経営に根ざしてきたのでしょうか?
「経験経済」と言う考えも同様です。
一時流行語となりそれを弄んでお終いという企業環境。
「ソフトパワー発揮」もお題目ではなくガイドラインをきちんと提示しているマネジメントはどれ程あるでしょうか?

一方、企業の外側の世界では逆、異質な発想から生まれたオリジナルなアイディア・サービスが価値を持ち、既存の経験にウンザリした人々を惹きつけて止みません。
怖いのは企業の組織性、規律性、伝統、正統などに則った「合理性」の下、それへの批判、異質な行動は抑圧されること、さらにはそこから生み出される数多くの「考えない」人々達です。
そして組織にとっても人にとっても「考えないこと」が組織への忠誠であり正しいのです。

過去を振り返るとき、あのオイルショックのブレークスルーには複眼の思想が唱えられた記憶があります。
この複眼をモットーに「異質」「批判」「複数」をエネルギーにした企業が今日にも「エクセレントな企業」として生存しているのではないでしょうか?
これから直面する不況に向けてこうしたかつてのように「知」による挑戦が可能とされる「ソフトパワーを生む」環境づくりが必要とされている気がします。

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