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2007年11月 アーカイブ

2007年11月08日

第123回『個人鎖国のすすめ』

一億中流幻想は、とっくに吹き飛んだし、勝ち組や新富裕層がマジョリティではないし、また彼らの繁栄がいつまで続くのか、も定かではありません。
どだい永遠の成長などありえません。

歴史的に見ても、腹一杯食べられ、旨いマズイと言えるのも戦後のわずか60年。
この時間は、いわば特殊で、日本人は、皆、いつも貧困に喘いでいたのが実際です。
いま、江戸ブームとか言っても江戸には飢饉や餓死はあったし、人身売買は、公然でした。
そしていま、また「貧困の復活」です。
そして貧困は労働市場からの構造的な「貧困」と社会生活による精神面の「貧困」とが表裏一体となっています。
例えば開発途上国やODA支援対象国を訪れると、生活は貧しいのですが、心は豊かな人々に数多く出逢います。
そして彼らは皆、教育を始めとし「未来」に一生懸命です。

私は「文化はサブカルチュアから生まれる」と言う幻想もあって、貧困や格差に苦しむ人々の話に関心を抱くよう努めています。
サブカルチュアが生み出したモノ、茶、懐石、能、俳句、歌舞伎などいずれも貧を基底にしていますし、「日本」を形成していることは言うまでもありません。
だから気になるのは、歴史的には中世から続く民間芸能、職人など「道を往く」人々の暮らしや足跡、最近ではニートで代表される人々の発言です。
彼らはいずれも「何も持たない」から自身を頼りに生きていく貧乏な人々であり、人と人の縁や繋がりを大切にしなければ生きることが出来なかった人々です。
そして彼らは特殊な人々ではなく、まさにいまの「私」達でもあります。

ある女性が言っていましたが、21世紀になって「初めて貧困に置かれ、自身と向き合う時代を迎えた」のであり、貧しい私たちは、ちょっとの間、仮眠していたに過ぎないのかもしれません。
いまやお金を得るには心を踏み絵にする時代、自分を裏切らないような、他人を傷つけないような職がない時代、お金がなければ「生きていてはいけない時代」の到来です。
理不尽ですよね。
それならこんな理不尽な社会に合わせるのでなく「お金がなくても生きる」ことを考えましょう。
貧乏を堂々と受け止め、最低の生命維持を社会に要求し、しっかり人間を「生きる」ことを模索する生活を積極的に追いかけましょう。
自殺する時間があったら、リストカットやいじめをする時間があったら、さっさと逃げて、自分にこだわる時間に向けましょう。
そしてしっかり引きこもりましょう。

知っていますか?
日本は平安、江戸、昭和前期と三回の鎖国を経験しました。
その間に精緻に日本が育まれ次期への原動力となりました。
今度は、国レベルではなく、いわば個人レベルの鎖国ですね。
私たち日本人は「いま」と「ここ」しか考えられない人種のようです。
いい意味では明日に縛られないで、現実に柔軟に対応し、いろいろな可能性を探り、お互い許容しあえる文化風土だということでしょう。

等しく貧乏になっていく私たちができること。
それは、明日は明日の風が吹く、どうせたいした世の中ではありません、腹を据えて身の回りに動きに右往左往しないよう、個人鎖国です。
そしてじっくり個々人の多様さをもとにした世過ぎ見過ぎの「貧乏芸」の開発。
それに縋って道往く人として人と人との縁を紡ぎ、お金では買えない世間様とつながる情理の価値で人生を稼ぎたいものです。

2007年11月30日

第124回『柔らか頭でお客様主義へ』

CS,個客、ワン・トゥ・ワン、CRMなど時代々で、お客様を起点におく経営はいろいろ言われてきていました。
しかし最近は、このお客様主義の経営も利益のプレシャーを背景にか、効率化と株主価値を追求するあまり、お客様不在の経営が目につきます。
保険金の未払い、賃金の未払い、賞味期限の虚偽、偽ブランド、リコール隠しなどなど
お女郎さんの眞のように、企業のお約束も口先だけとなりました。

例に挙げたのはいずれも不祥事ばかりで、このようなことは起こらないのが当たり前で
なんとも言う気もなくなる事件ですが、それ以上に懸念するのは、利益や効率を求めるが故に、お客様のニーズについてもかなり鈍感になっている企業が多いのではないか?と言うことです。それはとりわけサービスの面で強く感じます。

身近な話で恐縮ですが、最近、私の甥が、やっと伴侶となる女性と出会い挙式しました。
甥は40歳近く、そして花嫁も決して若くはありません。こうした大人同士の結婚式と言うことで自身のアッピールよりは、招待客のもてなしに比重を置いた、いわば花よりも実をとった挙式で、参列者は多いに満足したようです。

この式場は、近場の所為もあって私は時折ロビーで時間をつぶす所でもあり、結果、多くの花嫁を目にするのですが、個人的な印象では大人同士のカップルが以前よりも多くなっているような気がします。
事実、有名式場では花嫁が30歳代か、それ以上の挙式が大勢を占めているとのことです。
 
こうした結果、いまや人気を博しているのが、料理と会場、食卓の演出を中心にしたパッケージプランだそうです。また、商談の際しても両親抜きで来館し、クールな、かつてに比べれば「醒めた」カップルが殆どだそうです。
 
以上は、結婚というイベントに表出された現象ですが、ここで考えねばならないのは、派手、地味とか、エコノミーとか言うことではなく・大きく結婚観が変わったこと、また・労働スタイル、とりわけ女性のそれが一変したことで、こうした変化を捉えるには、新たなキーワードが必要とされると言うことです。
 
前者に関しては、離婚がめずらしくない時代となり、結婚が人生の中で大きなイベントでは無くなりつつあること。後者に関しては、生活を維持するためには共働きが前提となったこと、またキャリア志向の女性が増え、結婚式のイベントに夢を描く暇も時間もなくなったということです。また花嫁は自身の社会的な立場をも考慮せざるを得ません。
したがって結婚と儀式について言えば、「社会的にみっともなく」、出来れば「かっこよく」、「効率的」に挙げたいと言うのがトレンドとなってきたと言えます。つまりはお客様のニーズの大きな変化です。
 
したがってサービスを売る側は、従来の発想を切り替え、新たな視点からお客様の変化を先取りした「満足」を提供しなければならないでしょう。
こうしたことはウエディングに限りません。
 
外食、物販に関しても、「安い」「お得」は、一律ではありません。忙しい働き盛り世代では、多少、高くても時間が掛からないサービスを選ぶでしょうし、また、時間のクオリティを求めるお客様のサービスは、ファーストサービスは不愉快でしょう。酒のシーンでもミクソロジストいう新しい感覚のバーテンダーが現れサプライズのあるカクテルを提供し人気を博しています。まさに世間様ではお客様の価値が多様かつ細分化されてきているのですが、この変化に対応するにはかなりの想像力が必要とされるようです。
 
しかし、会社志向の経営風土にあってイマジネーションの不足する企業には見えない事柄でもありましょう。そんなわけでここのところは ま、儲けをちょっと忘れて柔らか頭となって、お客様がよろこぶことを考えてみませんか?と思う次第。
商売はそんなに甘くはないと言うお叱りを受けそうですが・・・。

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