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2007年09月 アーカイブ

2007年09月13日

第119回「消費者は品質の変化に案外鈍感」

私たちは品質について、結構シビアに考えていると思っていました。
しかし、以外や鈍感であるというショックな消費者調査がハーバードビジネスレビュー7月号(ダイヤモンド社刊)に紹介されています。

それによると、12年間にわたって46分野241種類の製品について実際の品質と消費者が知覚している品質との関係について調べたところ、消費者が品質の正しい実態を認識するのに平均5~7年かかることが判明したとのこと。
これは米国「コンシューマーレポート」誌の格付けと3万人を越える消費者を対象に年次調査を実施した結果だそうです。
こうした品質への知覚は製品によって異なり、冷蔵庫の品質変化が消費者に正しく評価されるまでに7,1年、タイヤの場合は9,5年、歯磨き粉では3,9年ということですが、いずれにしろ消費者の認識に品質の正しい実態が反映されるのには 平均5年~7年かかる。
また消費者は品質の向上よりは低下を早く感じ取るが、評判の高いブランドの場合、逆に向上に敏感で低下に気づくのが遅いと。
皆さまは、こうした「事実」をどのようにお考えでしょうか?

ミートホープ社の偽装表示が、内部告発が出るまでは長い間見過ごされていた事実などと併せて考えると身近な製品の品質でも品質低下は知覚しづらいのかも?と、私は妙に納得しました。
この報告書は、生産者がコストダウンを考えた場合、ある程度の品質低下を実践しても、消費者が認知するには時間が掛かるためかんたんに誤魔化すことができることを教えてくれています。
いまや製品寿命が短くなる傾向にあるご時世です。
5年、6年は、決して短いとは言えません。
競争が常態のなか、価格破壊のためにローコスト化を志向し、そのためのものづくり技術が精緻になるにつれ、消費者は知らぬ間に品質劣化の商品を掴まされる可能性も大きくなるかもしれません。
こうしたことには消費者は、もはや、なすすべを持たない弱い立場です。

「安かろう、悪かろう」で消費者を裏切ったら市場から排除されるというのは幻想で、いまやうまく裏切ったら儲かるということにもなってきそうです。
インターネットが普及し情報のヒエラルキーが崩れるとも言われますが、果たしてそうか?ものづくりの情報は、企業ノウハウとして秘匿、寡占化され、公開どころではないでしょう。

情報格差が解消されて市場のリーダーシップが企業から離れて消費者が主役となることなどは本当に実現するでしょうか?
この品質に関するレポートを極めて倫理観の高い企業が、悪用することなく、真の暮らしの向上を考えて利用して頂きたいと願う次第。
良心をつねに鼓舞する企業の成長を望むばかりです。

2007年09月27日

第120回『トップがくしゃみをすれば、クリエイティブ現場は首が飛ぶ』

企業のメッセージは、パッケージ、店舗、広告などすべては表現化され「見える」カタチ、すなわちクリエイティブとなって世間様に紹介されています。
そしてこの見えるモノに仕立て上げていく過程で、企業内部では、誰に対して、何を、何時、どのように見える必要があるか、どの様に見せればいいか、が検討されていることは言うまでもありません。
いわゆるクリエイティブ戦略ですね。

クリエイティブはいったんカタチとなって世に出れば、それは一人歩きをし、企業にとって都合がいいか、悪いかは別として色々な評価に曝されます。
評価は、人により、価値観によりまったく違うことは珍しくありません。
当然のことですが、メッセージの受け手は、企業の事情、主張などには無関心ですし、気まぐれで無責任な立場にいるからです。
そしてこうしたことはメッセージの発信者としては、「想定内」のことです。

企業の外にあっては、すべての人々に思惑通りのメッセージを送り届けることは不可能で、そのメッセージとカタチがいいか?悪いか?他のコミュニケーションとの整合性は取れているか?などなどを含めた発信サイドの狙いや戦略如何に関わっています。
したがってクリエイティブを行うスタッフやチームでは、その活動の是非については、それなりの評価基準を持っています。
この評価基準は文書化されるものもありますが、スタッフ同士が共有する暗黙の基準である場合も多いのです。
しかし、こうしたことはクリエイティブの現場を除く企業内部の組織、とくに組織を管理する側やトップではなかなか理解されないことです。
そして困ったことですが、彼らは自社のクリエイティブが世間に登場し、社会化されるにつれ市井の人と同じレベルで評価しがちです。
関心をもって頂くのは結構なことですが、問題はご本人の趣味、嗜好によるもの、奥様やお嬢様、友人など極めて限られた人間関係からの声を反映しているものなど、それら評価に客観性を欠く場合が多いことです。

前にも触れましたが、マーケティングやクリエイティブに関わるスタッフの立場は、社内的には弱く、したがって行動的には客様優先は建前、心情は、極めて強い内部志向の典型サラリーマン。
身の処し方は、つねに目線が上にある「平目」型処世が通り相場です。
そんなわけで社内の声、とりわけトップの声には敏感で、それは「神の声」に値します。
そしてその声が権力者からであれば、その真意を問いただして、一歩踏み込んだ意見として受け止めていこうとする勇者が、どれほどいるでしょうか?

かつて某ヘアケア会社の重役がコピー表現について不満を漏らしました。
クリエイティブ責任者は、問題の真意を検討することなく、急きょ、コピーライター十数人の起用を行って正解を得ようとしました。
起用されたライター達は、何が問題か?が分からないまま作業し結果、双方に残ったのは不満と不信、疲労でした。
こうしたことはコピーばかりではなくデザイン、写真、その他クリエイティブを構成するあらゆる要素に関わりよくあることです。
これらの要素を変えることは、一見部分的なことであっても、それまで練り上げて積み上げてきた成果を廃棄し、クリエイティブ活動の全面にわたる再構築にもつながる場合もあります。
出来上がったクリエイティブについは、誰でも一家言を持つことができます。
また気軽に評価もできます。
しかしそれは「好き、嫌い」の範囲でしょう。
クリエイティブ活動は、企業にとって大切な活動の一つでトップが関与することは大いに歓迎すべきことです。
しかしそれならそれでしっかりした合目的なクリエイティブ管理のスタンスでの物言いが必要でしょう。
唐突なトップの不用意な発言は、クリエイティブ活動の混乱をもたらし、対外的な側面で見れば百害あって一利ありません。

「トップが鼻風邪を引けば、現場は首が飛ぶ」現実を企業トップは認識し、同時にトップたる者、クリエイティブ活動の有り様を読み込む素養、能力を身につけて欲しいものです。

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