昔、祖母が亡くなったとき親族の中でひと騒動あった。葬式を盛大にやるのか、それとも親族・縁者のみでひっそりと行うのか。そのときの議論を聞いていて、ああそうかと思ったことがある。それは、葬式とは死者のためのものではなく、生き残った者たちが死んでしまった者と折り合いをつけるための儀式、つまり生者のためのものだということだ。
死と向き合うのは難しい。もはや死んでしまった者と語り合うことは出来ず、様々な思いが澱のように心の奥底につもっていく。しかし、人生を前に進むためには、その死を乗り越えていかなければならない。そしてそれは、自分自身の心と向き合う作業。ときには開けたくない蓋を開け、認めたくない事実を認めなくてはいけなくなる苦しい作業だ。
先日、そうした死と向き合う主人公を描いたすばらしい小説を読んだ。「闇の守り人」という上橋菜穂子が書いたファンタジー小説だ。著者は川村学園女子大学助教授で文化人類学を専門にする。ファンタジーといえば「ハリーポッター」だが、この「守り人シリーズ」はさすがに文化人類学者が書いただけあって、そんじょそこらのファンタジーとは趣が違う。「闇の守り人」はその第2作。大人に最も人気があるのがこの作品だそうだ。
秋の夜長に。
