« 2008年02月 | メイン | 2008年04月 »

2008年03月 アーカイブ

2008年03月07日

第77回『世界観を持ったデザインとは』

前回、世界観を提示するデザインこそが大切、との結論にたどり着きました。

いまあるブランドは、ほぼほぼすべて、独自の世界を提供することで成り立っています。最近、再び元気になり始めたMUJIなどは顕著な例で、その透明感のある世界は日本だけでなく世界でも広く受け入れられるブランドとなりました。

他にも、SONYのBRAVIA、日産のスカイラインGT-R、NIKON、六本木ミッドタウン、DoCoMo905シリーズ。このあたりのプロダクトなどが、最近のブランドとしては独自性を強く打ち出すことに成功し、一定の指示を集めていると思います。

そして、上記のプロダクト以上に大成功を収めているプロダクトがひとつあります。
「Wii」です。

昨年末、累計出荷台数が2000万台を越えたと言うことが、製造元である任天堂から発表されたWiiは、ライバルと目されていたSONYのPS3を尻目に快調に出荷台数を伸ばしています。


なぜ、wiiはこれほどまでに成功を収めることができたのか?
すでに語り尽くされた感はありますが、テレビの前にかじり付いてやるものだった「いままでのゲーム」に対する概念を根底からくつがえしてしまったことがWiiの強さです。ゲーム機のあたらしい場面(家族みんなで楽しむ、など)を提供したことがその強さです。


任天堂Wiiのサイトに、「社長が訊く Wiiプロジェクト」というコンテンツがありました。
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/interview/vol1/index.html


社内でも、どの方向にむかうのかまったくわからなかったWiiのプロジェクト。それが、だんだんと全容が見えるにつれ、Wiiのデザインや、リビングのどこに置くのか。だれがどのように遊ぶのか、そのためにはどんなデザインのコントローラーでなければいけないのか。次々と連関し合って、ひとつのカタチになっていく様は、見えない誰かの手で導かれていたかのようです。

Wiiは、任天堂が培ってきたビジョンの集大成と言えばそれまでなのかもしれません。しかし、たんに技術の集積というだけではなく、「新しいものを提示したい」という意欲があったからこそ可能だったと、はっきりと述べられています。特に、最先端の半導体技術を、よりハイパフォーマンスな方向に求めるのではなく、いままでにない方向に使うという視点は、PS3とあまりに対照的でおもしろく感じました。


それでは、WiiのようなWEBサイトってどんなサイトなのでしょう?


これまた、次回に。

2008年03月14日

第78回『あれ見た?』

WiiのようなWEBサイトとは、どんなWEBサイトなのか?
ボクは「コミュニケーションのネタを提供するサイト」がそうなのだと思う。


先週、リンクを貼った任天堂のサイトのなかで公開されている開発者たちのインタビューを読むと、Wiiはゲームの姿を変えたことがわかる。これまでのゲームは、TV画面に向かって黙々とプレイするものだった。格闘ゲームで難しいコマンドを打ち込んだり、ロールプレイングゲームで強敵を倒す方法を見つけさせたり、「極み」を要求していた。

それは、開発者たちが最新の技術に対して「より速く、より美しく」と追い求めていった結果だ。あたかも戦艦大和の巨艦大砲主義のようであり、PS3の販売がWiiとは比べものにならないほど低いのはその象徴と言える。SONYは「PS3はゲーム機ではない」として、リビングルームにPS3を中心に据えたプラットフォーム構想を思い描いたが、それは絵に描いた餅になってしまった。


Wiiはゲームの概念を変えた。任天堂が販売しているソフトのなかには、過去の概念からはおよそゲームとは呼べないものもたくさんある。そうしたソフトがなにを売っているのかというと「コミュニケーション」なのだろう。

厳密に言うと、コミュニケーションの“ネタ”だ。

コミュニケーションのネタというのは要するに、昔、学校に行ってトモダチと「昨日のテレビ見た?」と言い合っていたあれのことだ。「ドラクエ、どこまで進んだ?」「かーくん、やっぱりかっこよかったね」などなど…

「あれ見た?」
共通のバックグラウンドや時間軸が失われた昨今、このセリフを言うのはなかなか難しくなっている。同じ時間が共有できなくなっているため、同じ話題ができないからだ。これはWEBの世界でも同じだ。Twitterやmixiなど、時間軸を自由に選択できるコンテンツは盛んになるものの、同じ時間軸を強要するセカンドライフは過疎化している。見た目は最新なのかもしれないが、そのコミュニケーション方法はちっとも現代的でない。


Wiiもひとつの場所に集まってプレイすると言うことから時間軸を強要する。しかし、実際にWiiで遊んでみればわかるが、Wiiのすごいところはプレイして人だけでなく、側で見ている人も楽しいということだ。つまりプレイを見ている人の視線も意識されている。ついつい、「オォ~、いまの見た?」と言ってしまう工夫が凝らされている。


WEBサイトはPCで閲覧するという性質上、Wiiのように「いまの見た?」と言わせるのは難しい。ということは「あれ見た?」の方が正解だろう。とすると、ある体験や、経験を提供し、それが「コミュニケーションのネタ」になっているのがいちばんだと思う。

ボク自身、WEB上でのコミュニケーションというと、どうしてもサイトコンテンツ内でのコミュニケーションにしか想像が及ばなかった。しかし、「あれ見た?」という伝わり方を意識すると、まったく別のものが見えてくる。
「マルチメディア」「インタラクティブ」という言葉は最近聞かれなくなってしまった。PCやWEBの可能性を表現した言葉だったが、「WEBの世界のみでの可能性」という、あまりに狭義なものにとらわれすぎてしまったのかもしれない。「WEBとリアルの融合」として改めて考え直してみるべきだ。

「あれ見た?」と言ってもらえるほどのコンテンツではないかもしれないが、雨に煙る隅田川を見たかい?

2008年03月28日

第80回『そう決めたから』

先日の16日、湘南国際マラソンを走りました。タイムは2時間48分13秒で見事に完走できました!目標だった3時間もクリアして嬉しい限りです。

じつは、左足甲を痛めていたため大会前の1ヶ月はまともに練習できていませんでした。レースに出られるのかさえ不安だったのに、目標タイムをクリアできたのは本当に嬉しかったです。


マラソンをやり出したのは代表の川村の影響です。浜町アトリエは隅田川のほとりにあるため、ランニングコースに事欠きません。体調維持のためにちょっと走っていたところ、「大会に出よう」と誘われ、せっかくだからやってみようと思ったのです。もともと長距離を走るのは嫌いではなかったのですが、これまで一番長く走ったのは高校のマラソン大会10キロが最高でした。30キロという未知の世界に足を踏み入れたことは、ちょこっと新しい自分に生まれ変わったような気分です。


ランニングをしていると、「なぜつらいのにわざわざ走るの?」と聞かれることがあります。走ることが楽しかったり気持ちよかったりするから走るのですが、ボクにとってランニングよりも楽しいことや気持ちの良いことは他にもたくさんあります。それでも走るのは、自分で「走ると決めたから」です。

30キロのコースを走っているとき、20キロ過ぎからの給水所では、立ち止まって水を飲み、じっくり屈伸をしてからヨロヨロと走り出すことの連続でした。屈伸すると、それまで走ることで縮んでいたもも裏の筋肉が一時的に伸びます。伸ばした筋肉は縮もうとします。すると、その動きで自然と走り出せるのです。自分の意志ではなく、筋肉の反射を使ってなんとか走ってる状態でした。「屈伸すると楽だけど、やりすぎると筋肉が切れるかもな…」と思いながら、なんだかゼンマイ仕掛けみたいな自分の身体を笑いながら走ってました。

そんな状態で走ってて楽しいはずがありません(笑)。つらくてつらくて、「ここから歩いてゴールしても3時間きれるんじゃね?」みたいな悪魔の誘惑が頭の中を駆けめぐります。でも、走り続けたのは自分で決めたからです。自分が走らなければ、自分の身体はゴールしてくれません。マラソンという競技はすべて自己責任の下に行われるのです。自分をコントロールするのは自分です。非常にわかりやすい。そのわかりやすさが、いまのマラソンブームの一因になっているのかもしれません。湘南国際マラソンでも、老若男女、たくさんの人が走っていました。


ところが、社会に目を移すと、自己責任という言葉は影を潜めてしまいます。政治・経済の世界だけでなくスポーツの世界においても、組織が関係するとてんでダメになってしまうのはなぜなのでしょう。

バーレーンに敗れてしまった日本代表のサッカーも、先週の浦和レッズに対する言及がそのままあてはまるかのような試合展開でした。ベンチで指揮をとる岡田監督も、失点するやいなや、他のコーチ陣とご相談。岡田さんは監督なんじゃないの?極限状態の監督がなんで自分で決められないの?
たかだか大学スポーツの、さらにマイナースポーツであるラクロスでしたが、監督経験のあるボクとしては信じられない光景でした。


ファンサイトに入って以来、いつも川村に言われ続けていることがあります。

「ファンサイトは、個々がタレントとして立っていかないとダメだ」

自分の足で立てない人間は、組織の中でも輝けるはずがない。
当たり前のことを当たり前のように出来ることに挑戦しています。

ファンサイト