♪ Please Please Me

言葉あそび
ビートルズの楽曲を取り上げるにあたり何を一番はじめに持ってくるか、大いに悩んだ。
この曲のメロディが特別好きというわけではない。他にも魅力的な曲はたくさんある。惹かれたのはタイトルである。
初めてこの曲を聴いたのは英語を習い始めた中学生の頃だが、PLEASEプリーズ: 間投詞(どうぞ、ぜひ)と覚えていた私には「どうぞ、どうぞボク」というタイトルの意味がどうしてもわからなかった。後に最初のプリーズは確かに「どうぞ」だが、次のプリーズは「~を喜ばせる」という意味の動詞だと知った時の驚きと賞賛を想像してみてほしい。なるほど「お願いだ、ボクを喜ばせておくれ」か。英語って面白い!素直にそう思った。
当時デビューしたばかりの新人であるビートルズは楽曲のタイトルを決めるに際しても驚くべき才能を開花させていたのだ。
1963年2月に一日で録音されたデビューアルバムのB面トップを飾るのがこの曲である。
Last night I said these words to my girl 昨夜 あの娘にこう言った
I know you never even try, girl 君は試してみようともしないんだね
Come on, come on, come on, come on 頼むよ ねえ お願いだってば
Please please me, woh yeah 僕を喜ばせておくれ
Like I please you 僕が君を喜ばせてあげるみたいに
とりたててどうってことのない歌詞である。でもカモン、カモン、カモン、カモンとジョンとポールが掛け合いをしながら昇っていくところがたまらなくかっこよかった。それにverse(楽節)最後のlikeの使い方だ。このライクは「~が好き」ではなく、「~のように」の意味だ。
You can do it like this. = こういう風にやるとできるよ。
Don’t look at me like that.= そんな風にオレを見ないでくれ。
She behaved like a child. = 彼女、まるで子供みたいだった。
そしてもちろんこのplease こそが ~を喜ばせる の意味だ。
Please please me like I please you. = 僕がキミを喜ばせるみたいにボクを喜ばせておくれ
こうしてひとつの歌詞は普遍性を持つ“使えるフレーズ”として身体の一部になった。



