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2009年02月 アーカイブ

2009年02月05日

第319号『もし、それがなかったらどうなる』

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【蕾み】

なんであれ、それがどんな意味を持っているかを考える時、それがなかったらどうなるかを想像してみるというのが、手っ取り早い。

先日、百貨店の部門別売上高で化粧品が前年比1.7%のマイナスとなった。
百貨店の全商品合計の年間売上が12期連続で下がり続けている。
衣料、貴金属といった主力商品が総崩れとなるなかで、化粧品の売上はこれまで比較的好調だった。
こうした状況下での売上下落は勿論ショックであろう。
しかし、このデータは単に化粧品の売り上げ減、ということにとどまらない深刻な問題を含んでいる。
それは、化粧品の売り方にこそ百貨店の存在理由があったからだ。

これまで、口紅やマスカラなど、流行に左右され、価格勝負のメーキャップ用品はドラッグストアで購入し、化粧水やクリームなど比較的単価の高い基礎化粧品は百貨店で、との棲み分けがあった。
だから、対面で効果効能や付加価値をしっかりと時間をかけてお客様に理解してもらう。
この販売手法にこそ、コスト高の百貨店が生き残る道があった。

しかし、その棲み分けが崩れ始めたということである。
さらに、商品知識や価格比較などウェブでの購入と、それに伴う消費者のリテラシーの変化も百貨店離れに拍車をかけている。

もし、それがなくてもこまらないか?
いままさに、百貨店の存在そのものが問われはじめているのだ。

2009年02月13日

第320号『一人勝ちなどない』

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【チャイニーズドレス】

先月、大手企業の関連会社が運営する健康食品サイトがひっそりと閉じた。
立ち上げ当初、関わっていたが運営方針の違いもあり、このプロジェクトから外れていた。
売上が伸びず、事業縮小に至ったという。
ご担当者だった方からの知らせに少し驚いた。

大手企業が本気でウェブサイトを利用してのビジネスに取り組む事例として、業界でも話題になったこともある。
なぜ、このサイトが失敗したのか。

結論からいえば、「TVや新聞など、従来のメディアに比べ、インターネットの影響力は、まだまだたいしたことがない」ということと、「中身より入れ物とその入れ方」つまり、システム構築にコンテンツが振り回され、つまらないサイトになったからだと想像する。

例えば、企業ブログの失敗事例。
「やらせブログ」だとして取り上げられることの多い、ソニーの「ウォークマン体験日記」。
ブログ炎上に関係なく、ウォークマン売れている。
例えば、映画ブログの口コミ成功事例。
アニメ映画「時をかける少女」の興行成績はそれでも、わずか2億6千万円だ。
どちらにしろ、ネットで多少話題になったところで、ほとんどの人は知らないし、影響もあまりない。
従来のTV・新聞等の延長線上にあるメディアとしてインターネットを捉えるなら、その影響力はまだ限定的なものでしかない。
ウェブサイト構築を生業とする身として残念ではあるが、これがいま現在の現状だ。
一方、TV・新聞・雑誌も安閑としてはいられないのも事実である。

もはや、メディアに特効薬などない。
お客様にとって有効な接点をもつメディアの選定と、おもしろく有意義なコンテンツ、そして、その規模とそれに見合うコストの総体が問われているのだ。

2009年02月19日

第321号『教えを請う』

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【そして船は行く】

昨年、北陸の旧家から江戸中期に活躍した絵師、伊藤若冲の作品が見つかった。
六曲一双の大作「象鯨図屏風」。
海の王者、鯨に対し、それまで常識とされていた陸の王者、獅子に代わり象を対峙させるテーマの斬新さ。
そして、白と黒とを対比させる構図の大胆さに驚く。
随所に伝統的な枠組みをつかいながら、新しいアイデアがある。
落款などから若冲、80歳ころの作品と推定される。

「我が至上の愛 アストレとセラドン」を観た。
ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、エリック・ロメール監督の作品。
まるで、高校や大学の同好会で初めて映画製作をした時のような、なんともみずみずしく若さ溢れる仕上がりに感服した。
ロメール、87歳で完成したこのラブストーリーに圧倒された。

若くして成功を勝ち得る話しは多い。
元気がでるし、負けていられないとの気持ちにもなる。
しかし、素晴らしい成功が生まれるのは、なにも若い時ばかりとは限らない。
むしろ、高齢となり、純度の高い仕事をする先達は多い。
例えば、一見、平凡に見えながら千鈞の重みをあたえた映画、「英国王給仕人に乾杯!」の監督、イジー・メンツェルは70歳。
さらに、カンヌでパルムドールを受賞した『麦の穂を揺らす風』に続き、製作した『この自由な世界で』のケン・ローチ監督は73歳である。

彼らに共通しているのは軸がぶれず、自らが向かうべき先を見据えた生き方と、そこから生まれる作品の数々。
閉塞し、混迷する時だからこそ、しっかりと先達からの教えに耳目を傾けることにする。

2009年02月27日

第322号『21世紀、クリエイティブの挑戦』

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【ボーイング767】

閉塞感がこの国を覆っている。
日本の経済、政治、社会の潜在力は失われてしまったのか。
そんなことはない。
いつの時代も若者が未来をつくる。
最近、改めてこの事実を実感した。

いま、2つの専門学校の学校案内を作成している。
1つは、航空整備士になるための学校。
もう1つはリハビリなど、理学療法士になるための専門学校である。

撮影や取材を通して、在校生や卒業して、すでに現場で働いている多くの若者に会った。
共通していることは、皆、真剣で自分の進む道に一直線に眼差しを向けている。
まずは愚直に、自分のやるべきことを必死にやること。
この事実からしか新たな道は生まれない。
彼らと話していて、そんな印象を受けた。
取材を通して、この国を支える優れた若者たちがいることを実感した。

日本には一億人の人々がいる。
その中から、有為な人材を育てることは、われわれ大人の仕事である。
その機会に恵まれ、この春から、お茶の水にある文化学院で我が師、デザイン評論家柏木博氏とともに、デザインを学ぶ若者たちと向かい合うことになった。

その手始めとして、明日、文化学院のロビーにてシンポジウムを開催する。
題して『21世紀、クリエイティブの挑戦』
ご高覧いただければ幸甚である。

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