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2008年09月 アーカイブ

2008年09月04日

第299号『降り立つ』

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【夕日の時】

ここ数年、企業がいかにして自社のファンサイトを構築するべきかを提案してきた。
その結果、つくることばかりに目を奪われていた。

構築の有り様が分れば、成り立ちがわかるはずだ。
だから、これまでの方法に加え、気になるサイトを分析し、そこに盛り込まれている機能とコンテンツをつぶさに吟味し参考にする。
さらに、最新のツールをいかに活用するかを考える。

こうして、企業によって多少の差異はあるものの、ファンサイトとして搭載する仕組みや、コンテンツを作ることが可能になり、ある程度の標準化を確保することが出来るようになった。

しかし、つくることより壊すことのほうがずっと大切だということに気が付いた。
最近、なんとなく制作の流れがマンネリ化しているように思えたからだ。

壊さなければ新しいものはつくれない。
留まることや溜めることは、停止あるいは後退と同義である。
止まることなく、排除し続けながら更新する。
そして、その流れを維持すること。

そのためには、いまさらながらではあるが、web2.0とは何かと、再考することもその1つであった。
web2.0の意味を自分なりに捉え直してみた。
一言でいえば、ユーザー側に立つこと。
ユーザーが欲しいコンテンツを用意すること、しかも徹底的に、そして具体的に。
例えば、業態の違う企業A社、B社、C社があるキーワードでコンテンツを共同開発できるのではないか。
つまり、企業間の壁を乗り越えた試みができれば「各企業が自社に顧客を囲い込む」といったありもしない妄想に至らず、ファンサイトの新たな姿を提案する糸口が見つかるのではないか。
そのためには絶えず、考え続けるしか方法はない。

「チャンスは準備している者にのみ降り立つ」ことを信じて。

2008年09月11日

第300号『10000時間』

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【数】

福岡伸一氏は『生物と無生物のあいだ』でサントリー学芸賞に輝いた気鋭の生物学者である。
骨子の野太さとは似つかわしくない、流麗で且つ、リズム感のある文体で思わず引き込まれた。
その福岡氏のコラムを8月21日付け日経新聞夕刊で、読んだ。
以下、コラムからの引用である。

「こんな調査がある。スポーツ、芸術、技能、どんな分野でもよい。
圧倒的な力量を誇示するプロフェッショナルというものが存在する世界がある。
そんじょそこらのアマチュアなどまったくよせつけないプロフェッショナルたち。
そのような人たちがいかにして形成されたか。
それを調査したものである。
(中略)
プロフェッショナルたちの多くは皆、ある特殊な時間を共有しているのである。
10000時間。
いずれの世界でも彼ら彼女らは、幼少時を起点として少なくとも10000時間、例外なくそのことだけに集中し専心し、たゆまぬ努力をしているのだ。
10000時間といえば、1日3時間練習レッスンを受けるとして、1年に1000時間、それを10年にわたってやすまず継続するということである。
その上に初めてプロフェッショナルが成り立つ。
DNAの中には、ピアニストの遺伝子も将棋の遺伝子も存在しない。
DNAには、人を生かすための仕組みが書かれてはいるが、いかに活かすかについては一切記載はない。」

拳拳服膺。

量は質を凌駕する。
蓋し,腑に落ちた。
はたして、自分はどうか。

『ファンサイト通信』を書き始めて6年6ヶ月。
そして300号、まだまだ道半ばである。

2008年09月18日

第301号『突破力』

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【蔦の絡まるハウス】

船井総研でIT企業のコンサルタントをしている、友人の長島淳治さんが日経BP社から「IT一番戦略の実践と理論」を上梓された。

彼との交流は2年前の5月、一通のメールから始まった。
06年4月に出版したばかりの僕の著作「企業ファンサイト」を読み、会いたいのとメールをいただいた。
読者の方からいただいた最初のメールでもあった。
明るく率直な発言と、柔らかな言葉のなかに鋭い観察眼を併せ持つ若者との印象を受けた。
そして別れ際、「僕も数年後に本を書いて出版します。」
と、きっぱりと言ったことがとても印象的だった。
はたして、きっぱりと言い放ったそのことを見事に実現した。

その長島さんから、最近もっとも感銘したという本を紹介された。
山口絵里子著「裸でもいきる」である。

山口さんのプロフィールを紹介する。
1981年埼玉県生まれ。小学校時代イジメにあい、その反動で中学時代非行に走る。その後、強くなりたいと高校の「男子柔道部」に自ら飛び込み、女子柔道で日本のトップクラスに。偏差値40から受験勉強3ヶ月で慶応大学に合格。大学のインターン時代、ワシントン国際機関で途上国援助の矛盾を感じ、アジア最貧国「バングラデシュ」に渡り日本人初の大学院生になる。必要なのは施しではなく先進国との対等な経済活動という理念のもと23歳で起業を決意。ジュート(麻)を使った高品質バッグを現地で生産し輸入販売する「株式会社マザーハウス」を設立。あらゆる苦難を乗り越えビジネスを軌道に乗せた彼女の生き方やビジネス理念は、多くの学生から若い社会人に感動を与えており、社長業の傍ら講演で飛びまわる。「フジサンケイ女性起業家支援プロジェクト2006」最優秀賞受賞。

このプロフィール通り、まるでジェットコースターのようにスリリングな内容で、一気に読み終えた。

そして、僕が常々敬意と賞賛をもって接している人たちに共通するものがあることに気が付い。
それは、常識では無理だと思われる問題や、困難という壁を、愚直に突破していく姿勢だ。

例えば、大手金融コンサル会社を辞し、ストリートバスケやストリートダンスを組織するK氏。
地方から上京し、販売員からはじめ、いまや圧倒的なブランド力をもつファッションデザイナーのS氏。
政府系バンクを辞し、中小企業支援のコンサルをやりながら自らも数店のショップ経営を展開するM氏。

彼らから一様に出た言葉がある。
「やってみなきゃわからないじゃない!」
なるほど、突破力とは自分を信じる力のことだと思った。

2008年09月25日

第302号『信者』

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【貝殻のタペストリー】

今年、ライブで聴いたアーティストたち。
ポリス・チープトリック・忌野清志郎・シンディローパー。
それぞれに素晴らしい舞台を味わうことができた。

コンサートに行く度に思うことがある。
彼らは、どうしてこれだけの人を集めることができるのだろうか。

集まるファンもファッション、年代、ノリ、それぞれに特徴があり、雰囲気も違う。
それほど大々的に告知しているわけでもないのに、わずか数人のメンバーで武道館を、東京ドームをファンで埋め尽くす。

「言う」に人(にんべん)が付くと「信じる」になる。
「信じる」に者が付くと「儲かる」になる。
つまり、音楽であれ、宗教であれ、ビジネスであれ基本は信ずる者が集まることにある。

勿論、自分だけの利益だけを考えている者の回りに、人が集まるはずもない。

ファンとは何か。
1つの言葉から曲が生まれ、その音が共振して輪が広がる。
そして、人々のこころが共振し、共感に変わるときファンが誕生する。

喉頭癌を克服して2月10日ステージに立った清志郎が、今度は腸骨への転移が見つかった。
この夏、予定していたすべてのライブ活動を中止した。
さぞかし無念と思いきや、「このくらいのことは覚悟してたんで、ぜんぜん凹んでないから」と、本人は淡々としたメッセージを寄せている。
2年前、闘病生活を「新しいブルースを楽しむように」と言っていた。
そして、こんどは「ブルースはまだまだ続いている」と。

清志郎のこの前向きな姿勢に共感する。
そして、まぎれもなく僕はかれの信者である。


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