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2008年02月 アーカイブ

2008年02月07日

第271号『したたかさ』

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【ガジェット】

2、3年ほど前、ロングビーチに住む友人宅に少し長く滞在したことがあった。
はじめは気にもしなかったことがしばらくすると、いろいろと見えてくる。

スーパーで買い物をしてレジに並んでいると、商品をレジ係に渡し、現金を受け取っている人を時々見かけた。
何をしているのか、と友人に聞いた。
返品しているのだという。
しかも、その返品は今日や昨日買ったものばかりではなく、数日、いや数ヶ月前に買ったものでも、あたりまえのように返すという。
それは例えば、TV、履いた靴、果ては食べかけのジャムまで。
嘘のような本当の話である。

また、ある日、ロングビーチからハリウッドまで電車(地下鉄)に乗った。
ここでの光景にもおどろいた。
チキンの食べカスを、平然と座席の下に放置するおばさんや、携帯電話でガンガン話しているお兄さんと、これまた回りを気にする様子もない。
そういえば、バスケットの試合会場である、ステープルセンターの観客席も、野球場も足下は総じてゴミだらけである。
モラルのかけらもない。

その一方で、道を尋ねれば本当に親切に教えてくれ、買い物をしていても、この商品なら、別のスーパーのほうが安いと教えてくれる人もいる。
皆、当然のように、エレベーターで目が合えば軽く微笑みを返してくれる。
地方ならいざしらず、東京でこれほど見知らぬ人が声を掛け合い、会釈する姿は見かけない。

乱暴かとおもえば優しく、大胆かと思えば繊細でもある。
絶望と希望、混沌と合理が入り乱れた不思議な国である。
その国がいま、自分たちのリーダーを選ぼうとしている。

バラック・オバマなんて、ほんの1年前まで聞いたこともなかった。
いまや、この黒人の男が、アメリカ大統領になるかもしれない。

考えてみると、アメリカは人種差別やベトナム戦争の泥沼化など、問題を抱え、それを克服するたびに、変化を遂げてきた国である。
イラク戦争やサブプライムローンの失策により、ブッシュ政権はもはや死に体となり、アメリカの威信そのものも失墜している。
しかし、オバマ氏が当選すればアメリカの道徳的な権威や指導力の復活につながると観る人もいる。

女性初でも、黒人初であっても、いずれにしてもアメリカの公平性や新たなイメージを世界に提示する構図がある。
そこには、ただでは起きないという、したたかで骨太なアメリカの底力を感じぜずにはいられない。

2008年02月14日

第272号『ルール』

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【貝の秩序】

弊社ではトイレの使用に関して、簡単な取り決めがある。
小便は座って所用すること。
理由の1つには女性と男性のトイレが別れておらず共有して使用しているため、なるべく汚さない工夫として座ることにした。
男の沽券に関わるとの議論もあろうが、そうした。

お恥ずかしい話であるが高校3年の夏、1週間ほど停学処分になった。
理由は、制帽を冠らずに登校したからだ。
当時、僕の通っていた高校の校則で登校時は必ず帽子をかぶることとされていた。

そんなことで停学になるのか?
大半の方は嘘だと思うであろう。
でも、これは事実である。
ついでに告白すれば卒業式の日、何人かの生徒と集まり、帽子に灯油を撒き火を放った。
たわいもないゲームだった。

その後、大学4年の夏、母校の高校で教育研修をした。
驚いたことに帽子をかぶっている生徒など、どこを探しても見当たらなかった。
聞けば学園紛争の後、帽子そのものが廃止となったという。

停学にした当の先生に、少し意地悪な気分で尋ねた。
なぜ、校則が変わったのかと。
先生曰く、「道徳も常識も校則も、時代とともに変わるんだよ」。
さらりと言ってのけた。
なるほどと関心し、合点した。
それからというもの、ルールに関して僕に1つの基準のようなものが生まれた。

ルールとは、その時々に一番美しく感じられる合理的な所作のことである、と。

2008年02月21日

第273号『変える力』

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【響き合うワイングラスたち】

浜町にアトリエを構えて、今月で1年になる。
この間、何が一番変わったか。
それは、アトリエにきていただいくお客様の数とメンバーの成長である。

会社創業以来、スタッフもなく一人でファンサイトという会社をドライブしていた。
それなりに、忙しく、かつ楽しい仕事をいただき、続けることができていた。

06年の春、幸運にも「企業ファンサイト入門」という本を上梓した。
このことがきっかけとなり、ファンサイトという考え方をもっと多くの人に、分ってもらえるようできないかと考え始めた。
もはや、一人で悦に入いる場合ではなかった。

この本の上梓の時期を前後して、一緒に戦える仲間を求めて、多くの方とお会いした。
そして、集まったメンバーは、元輸入業、元大手生命保険会社のSE、公務員を辞し、専門学校を卒業したてのデザイナーの卵と、クリエイティブの世界では初心者ばかりであった。

メンバーのほとんどが初心者だったのは意識してのことではなかった。
結果としてそうなっただけのことである。

確かに、選ぶ基準はあった。
どうしてもいまの自分を変えたい。
そう強く思っている、と話してくれた人に声を掛けた。
それは、僕自身が変わりたいと想い、それを共に実現することができればと思っていたからだ。

ファンサイトは企業のコミュニケーションプランを提示し、それをみえるカタチに具現化する集団である。
そのモノづくりの最前線として浜町アトリエがある。
スタッフが集まり、時にクライアントまで参加し、丁々発止のやりとりをする。
クライアントと伍して議論するには、人並み以上に勉強する必要がある。
まして、もともとが初心者集団である。
本気で切磋琢磨していなければ、すぐに見抜かれる。

最近、企業からいただくお話も、従来の方法ではなく、いまの現状から変わりたいというご相談が多い。
従来のクリエイティブの考え方ばかりではなく、まったく違う切り口と方法が求められている。
この2、3年、こうした状況のなかで仕事を通して考え、勉強し、実践してきた。
そして最近、以前からお付き合いのあるお客様ばかりではなく、ご紹介によるお客様からもお声をかけていただくことが多くなった。

先日、お客様から、ファンサイトのメンバーと仕事をするのは楽しいね、と、お褒めいただいた。
ありがたいことである。

お褒めいただけた理由は何かと考えた。
十全に満足していただくにはまだまだ勉強しなければならないが、お客様と同様に僕たち自身が変わりたいと願い、それを諦めず闘い続けている集団だからだと確信している。

2008年02月28日

第274号『口コミ指数』

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【窓から見える風景】

あまり教えたくはないのだが、南房総千倉にある「バードランド」は僕のお気に入りの宿である。
5年ほど前、偶然、ネットで検索し訪れた。
それ以来、少し時間が空くと出かける。

何があるというのでもないが、居心地の良い空間と主の良い加減の会話、そして、ほったらかしてくれる心遣いがうれしい。
朝食後、ゆっくりとホームシアターで映画を観るのも楽しい。

主の、中野渡さんはもともと、千倉が地元ではない。
大手半導体商社の営業マンからペンションのオーナーになった方である。
千倉という町の空気感に魅せられ、この地を選んだという。
千倉の町と人をこよなく愛していることが話の節々に感じられる。
そして、中野渡さんは千倉エリアの私設コンシェルジュでもある。

惜しげもなく彼が教えてくれたお店は、そのどれもがとびっきり優れた人気店である。

主は寡黙だが、地元の素材を使い、気配りのあるもてなしと美味い料理を出し、いつもお客様で溢れている居酒屋。
サーファーでちょっとユーモラスな若手ガラス作家の工房。
薫製づくりが大好きで、ガリ版刷の新聞を作り、サーファーでもある、こだわり中年親父の薫製ハム・ベーコン屋。
初老のご夫婦が切り盛りしているハーブをベースにした食堂。
ここは、教えてもらわなければ絶対に辿り着くことのできない場所にある。
そして、そのお店の中にはハーブが一面に植えてある。

いわば口コミの権化ともいえるコンシェルジュ、中野渡さんが教えてくれたお店には、共通点がある。

・ わかりやすい特徴がある
・ ストーリーがある
・ リピート性がある
・ カリスマがいる
・ 美味しい、楽しい、健康になりたいなど、潜在的なニーズがある
・ ターゲットがはっきりしている

これは、口コミを形成する指数である。
ecサイト構築の重要な要素でもある。
弊社で制作依頼された時、この口コミ指数と商品特性指数を、どのレベルにもって行くかがポイントとなると考えている。

さて、近々、口コミ指数と美味い酒と料理の再確認に、千倉へ行くとするか。

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