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2018年10月25日第463回 M.ムーア最新作「華氏119」試写会レポート(ネタバレなし)

昨日東京の青山で、ネットメディア「ビジネス・インサイダージャパン」主催によるマイケルムーア監督の最新作映画「華氏119」の試写会に参加しました。

マイケルムーア監督といえば、母国アメリカの影を赤裸々に、時にコミカル&アイロニカルに描くドキュメンタリー作品が有名。
アメリカの銃社会の問題を鋭く追求する「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002)や、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件とブッシュ元大統領にフォーカスし、カンヌ映画祭の最優秀作品賞「パルムドール」を受賞した「華氏911」(2004)をご存知の方も多いと思います。

ボウリング・フォー・コロンバイン(2004)

華氏911(2004)

今回の「華氏119」は、アメリカ中の予想を覆して第45代アメリカ大統領になったドナルド・トランプ氏をはじめ、対抗馬だったヒラリー・クリントン、前アメリカ大統領バラク・オバマ両氏もフォーカス。
さらに近年急増している高校での銃乱射事件や、ミシガン州フリントで起きたアメリカ史上最悪の水道汚染公害についてもメスを入れた問題作です。
上映前に配給元であるGAGA株式会社の方から説明がありましたが、今作は監督が先日ギリギリまで編集を行っていたとのこと。
フィルムが到着してからまだ1週間も経たないなかでの上映ということで、まさに「今のアメリカ」が描かれていました。

細かい内容については、いつもと同様ネタバレを避けるため触れませんが、一言だけ強烈に感じたことは「これは将来の日本の姿だ」という危惧感です。

共和党のトランプ氏、民主党のヒラリー、オバマ氏を取り巻くアメリカの政治状況とその闇。
水道公害汚染に抗議する住民たちに対する州政府、連邦政府の対応。
相次ぐ銃乱射事件と、銃規制を訴える高校生たちに対するアメリカの政治家たちの反応などを見ていると、このアメリカという国に従い続け、その影を追い続ける日本がどうなっていくかがあまりにもクッキリと見えてきてしまったのです。

今作は、その現状から起こる絶望だけを突きつけるのではありません。
良識ある市民たちが、こうした問題についてどう向き合っているのかもしっかりと描かれています。
とはいえ、これまでの風刺や警鐘ではなく、監督が観客に対する「懇願」や「祈り」に近いものを感じました。

しかし残念なことに、米史上ドキュメンタリー映画の興行成績1位を獲得した「911」にくらべて、今作「119」は本国アメリカで興行的に苦戦しているとのこと。
ここにも、加速度的に変わりつつある日本社会と同じような、人々の不気味な意識の変容を感じています。

本作は11月2日(土)より各地の映画館で上映予定。
上記の感想はあくまでも私の主観でありますが、まずは一人でも多くの人がこの映画を観て、現在、そしてこれからの社会を考えるきっかけとしてくれたらと願うばかりです。

映画「華氏119」オフィシャルサイト

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執筆者

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柳澤 史樹

フリーライター/ 自分史アドバイザー。
歴史を楽しむ情報サイトや企業ファンサイトのマネージメント、ビジネスコンセプトやコピーの執筆、多数の著名人取材などの他、現在は一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザーとして、個人の軌跡を残す「自分史」を活動の軸とする。
2016年暮れ、地元横浜から相模原市緑区へ引越し、農的暮らしと執筆生活の両立へシフトチェンジ中。

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