花も実もない! Marketing One Hit Shot

2011年10月20日第215回『こんな時代こそ大胆が大切』

▼老舗ブランド「コーチPoppy」

 先日、日帰り旅行の帰り軽井沢よりコーチの袋を持った女子達が新幹線に乗ってきた。
聞くところでは不況のあおりで高級ブランドが軒並み苦戦しているなかで、米ニューヨーク生まれのブランド「COACH(コーチ)」が元気だとか。まさにそれが図らずも証明された感じでした。
OLから中高年まで幅広い層に人気があるコーチだが、今回、ターゲットとするのは20歳代に的を絞ったらしい。
 2009年秋冬コレクションで、「COACH POPPY」はカラフルでポップな「COACH POPPY」を発表した。 赤、ピンク、ブルーといった「ヴィヴィッドカラー」を多用し、素材には光沢感のある革(パテント)やスパンコールを使っています。また落書き風の文字が書かれた遊び心のあるトートバッグもあり、 バッグの価格は3万4650円~11万5500円。小さめのショルダータイプなら3万円台で買えるようです。販促もターゲットに合せてのキャラクターも初登場。プードルのようなヘアスタイルに、大きな目、長くて細い足をしたキャラは「POPPY(ポピー)ちゃん」といい、渋谷店にはポピーちゃんプリクラが置かれたり専用サイトでは動画などのコンテンツが楽しめるようですが、いずれにしろ変化を追求するには慎重な老舗ブランドには珍しく、常に変化を追求する戦略がコーチにはある印象です。コーチでは消費者調査の結果、カジュアル志向の市場にシェア拡大の余地がありと見ている(コーチのプレス資料)ようで割安感、元気が出そうなカラー作戦が効を奏していると思われます。
 因みにJAFCA(財団法人日本ファッション協会流行色情報センター)の提案色を中心に、2011年春夏の流行色が発表されていますが、その狙いも、閉塞的な現状にとらわれず、明るい未来への期待を込めた、夢のある美しい色が選定・提案です。
気になる向きは検索してみては如何でしょうか?
 以上は若者市場の動きですが、シニア市場にも見るべき動きがあるようです。

▼ ゼロからの再起「はとバス」

震災後のゼロベースから約半年でV字型回復したはとバス。・・・・これはテレビにも紹介された話題ですので諸兄もご存じでしょう。
 言うまでもなく 東日本大震災は首都圏の多くの企業の事業活動に甚大な影響を与えていますが、特に深刻なダメージを受けた業種が観光事業でしょう。
 余震や放射能に対する恐怖心から外国人が一斉に日本を脱出し、同時に訪日する外国人も激減。また、日本人であっても、観光目的で首都圏を訪れる人は減り、さらには「計画停電」による混乱や“自粛ブーム”が観光市場の落ち込みに拍車を掛けています。
こうした未曾有の不況の中、なぜ「はとバスはV字再起ができたのか?」
TVのインタビューでは「震災発生後の3~4月はキャンセル続きで、保有する観光バス136両はほとんど稼働しませんでした。特に3月12日~31日はゼロ」だったとか!
はとバスの詳細について省きますが、一口に言えば、立て直しに向けての大胆な発想転換であると言えます。
もちろんこれは「はとバス」ブランドの「コアコンピタンス」を否定するモノではありません。また価格競争よるカットスロートに舵を切ったことでありません。
それよりはむしろブランド資産の見直しによる「ターゲットの発見」と「サービス開発の成功」に要因は挙げられそうです。

▼戦略のキーワードは「癒やし」「故郷」「絆」

ターゲットについては、地方や外国人観光客から都内在住の、とくに女性シニア層に軸足を移したこと、またこうした層に対し安心・安全・信頼感をベースにしながらも価格的にも時間的にも気楽な取り組みやすさ、参加しやすさを追求企画を厚くしたことでしょう。
現在の企画のキーワードは「癒やし」「故郷」「絆」の3つが上げられており、この方向で、「1000本ノック」と呼ぶ社員一同が一丸となって行なうアイディア開発があると言われます。その結果、はとバスでは、都内定期観光だけでも200本近い企画があり、このうち約100本が新規企画、残りの約100本が従来からの企画をマイナーチェンジしたものとなっているそうです。
 新しい企画が多いのは、首都圏在住の顧客の比率が高くなっているからで、そういった顧客ニーズに応えるには、定番コースのほか、流行をいち早く取り入れ、タイムリーに企画に反映したものが用意されています。
 例えば今年人気なのは、やはり「東京スカイツリー」関連ツアー。また震災後、人々の意識が人生とか内面に向かうようになったということで、『阿字観(あじかん)体験』という瞑想体験ツアー、さらには女性にとっては未体験ゾーンのホストクラブ体験など、また戦後世代の追憶をそそる歌声喫茶体験など。
その他、昭和の時代に活躍したバスガイドを起用し、企画が大ヒットしたり、「女子力アップツアー」と称して御殿場のアウトレットやオシャレなレストラン巡り、パワースポットとして名高い箱根神社などをめぐるツアーなどユニークな商品化が目白押し。私の連れ合いなどは参加したいと叫んでいます。
バスツーアは、足が不自由になった高齢者には必須のレジャープラン、他人事ならずはとバスの「ひらめき」と実行力を応援します。
この「ひらめき」のために「はとバス」スタッフは街を歩き回り、先取り的に情報ヒントを収集しているとか?

▼急速な変化に恐怖し立ちすくむ前に

以上は、僅かな事例に過ぎませんが、しかし変化は急速に生起しています。
震災後の街や暮しの空間でも、節電や省エネなどで光も温度も、また消費価値感も変ってきています。陰翳のある光のもとではお化粧や色彩の効果も変らざるを得ません。物欲の方向は変わりつつありますが、物欲がなくなったわけではありません。
しかし、21世紀までの成功で、私たちは失敗を恐れるようになってきています。
また体質的にでしょか?リーダーシップをとることより追随的なキャッチアップに志向は傾きがちです。いわゆる「金持ち喧嘩せず」です。
しかしそれだけではもはや後塵を拝するばかりでしょう。

定期購読HBR「マーケティングの見直し」では、P&Gのトライアルなどが紹介されています。
世界企業は企業は、流石ウチラと違うよね!と自虐的になるのはご勝手ですが・・・。でも「世界は動いている・・・!」と思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

執筆者

image100820.jpg

宇田 一夫

ファンサイト有限会社 顧問/コミュニケーションプロデューサー

1939年3月生まれ。 早稲田大学第一文学部史学科西洋史卒。
1962年株式会社博報堂、株式会社日東エイジェンシーなどを経て、株式会社エイムス設立。アカウント・プランナーとして「コミュニケーション&マーケティング」を課題に各種キャンペーン・プロジェクトを企画・プロデュース。
2005年愛知EXPO中央アジア共同館(ザ・グレート・シルクロード)プランナー
東洋美術専門学校視覚伝達学科講師

【賞】国際見本市、日経新聞・日経産業新聞・日経流通新聞・ショッピング他などで受賞

最近の記事

バックナンバー

関連リンク

funsite
Fun-site Ltd. © All Rights Reserved.

ページトップへ