花期花会

2019年12月11日第49回『地域イノベーター紹介-その16』

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回に引き続き、我が関心事、地域をデザインしているイノベーターを紹介します。

へぇ~、こんな面白い人が、こんな素晴らしい人が、いるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

「地域イノベーター」シリーズその16

今回の地域イノベーターは、宮城県加美郡色麻町(しかまちょう)と東京の2拠点生活をして、色麻町の良さを伝えているNPO法人ルネッサンスファクトリー理事長の菅原 一杉(すがわら かずすぎ)さんです。

< 菅原一杉さん >

 

菅原さんは、現在、生まれ故郷の色麻町と東京とを行ったり来たりする2拠点で生活していますが、何がそうさせるのでしょうか?

その理由を解き明かします。

最初に、色麻町は、どこに在るのでしょうか?

色麻町は、宮城県のほぼ中央北西部に位置します。

アクセスは東北新幹線に乗り、仙台を過ぎ、古川駅で下車します。

鉄道は通っていませんので、駅前からミヤコーバスの色麻線に乗り約30分で色麻町町役場に着きます。

色麻町の歴史は30年くらいですが、町の名前「色麻」は天平9年(737年)の『続日本紀』に登場するくらい歴史があります。

色麻町の人口(2019年6月1日現在)は6772人、65歳以上の高齢化率は33.0%。

主なる産業は農業で、町全体で農地を守るための地域の話合い、地域農業のあり方を考える取り組み(新規就農の促進、農業法人化、生産品目の明確化、六次産業化、高付加価値など)が行われています。

また、色麻町の大崎地域にある「持続可能な水田農業を支える『大崎耕土』の伝統的水管理システム」は2年前、世界農業遺産に認定されました。

※大崎耕土とは?

大崎地域の厳しい自然環境下で、食料と生計を維持するため、さまざまな知恵や工夫を重ねてきた大地『大崎耕土』。

大崎耕土では冷害や洪水に対応するための「水管理システム」を中心に、「生き物との共生関係」や「農業と結びついた文化」「豊かで特徴的な景観」が発展し、それら全体の“つながり”が世界農業遺産認定へのカギとなりました。

(大崎耕土のサイト https://osakikoudo-giahs.jp/)

色麻町全体の試みとして、町内の食材や加工品の利活用促進と消費拡大を図るために、毎月第1金曜日を「色麻町地産地消の日」と設定して、特産品等の販売を色麻町役場1階ロビーで開催しています。

< 色麻町 >

 

さて菅原さんに話しを戻しましょう。

菅原さんは1977年の生まれ、現在42歳です。

大学時代から色麻町を離れて東京で暮らします。

住んだところは、若者のまち、高円寺。

「若者がやりたいことを自由に挑戦して、形にしていけるような町」

菅原さん、すっかり高円寺が好きになりました。

大学を卒業してからも、仲間たちとバンド活動しながら、菅原さん、仕事も転々としながら、日々を過ごしていましたが、少し疲れてきた2006年に、色麻町のお祖母さんが亡くなり、お母さんが一人暮らしになったことをきっかけに、色麻町に戻ります。

戻ってみると懐かしい風景に心の底からホッとして、菅原さん「やっぱりここが好きなんだなぁと実感した」そうです。

菅原さんは資格(早稲田大学教育学部国語国文学科卒で教員資格)を持っていたので、高校の教員として働くなかで、2011年3月11日、東日本大震災が起きます。

震災後に少しでも役に立てればと、NPO法人全国コミュニティライフサポートセンターの職員に応募し、NPO活動の中間支援に携わり、被災地を回り、様々な活動を目にするうちに、もっと積極的に地域の力になりたいと、菅原さんは考えるようになりました。

菅原さんはNPO法人全国コミュニティライフサポートセンターの活動を通して、まちおこしの肝は「場づくり」だ、と実感。

そして、ふと頭に浮かんだのは、住人が、若者が、生き生き暮らしていた高円寺の風景だったそうです。

「若い人がやりたいことを競って形にしていた。失敗を恐れなくていい雰囲気があった」

自分の理想の街は、高円寺だ。

「そうだ、色麻を高円寺にしよう!」

そう思い立つと、いてもたってもいられず、NPOを退職して、人集めと団体の立ち上げに、奔走し始めます。

2017年11月、10人の仲間を集めてNPO法人を設立しました。

参加してくれたのは地元の仲間のほか、東京のバンドマンも「なんだか面白そうだから」と会員になってくれたそうです。

団体名は「再生工場」をイメージして「ルネッサンスファクトリー」。

色麻の魅力を掘り起こして生かす、というミッションと願いを込めたネーミングです。

菅原さん、活動の初めに、地元の自慢(ヒト・モノ・コト)、優秀な和牛繁殖の畜産農家、興味深い「七不思議伝説」、「河童伝説」など、を伝えるためのメディアを発刊することを考えます。

2018年に季刊の無料情報誌「来たら?」を創刊します。

< 無料情報誌「来たら?」 >

 

これを入手して観た私(鍋島)が、東京浅草橋のゲストハウスのリトル・ジャパンで、トークイベントしていた菅原さんに会いに行ったのが、菅原さんとの最初の接点です。

色麻の「人」を通して地元の魅力を発信し、「よかったらちょっと来てみてよ、という思いです。あまりプレッシャーをかけても来てもらえませんから」菅原さんは、ニコヤカに、ほほ笑みます。

ただ観光に来る「交流人口」より少し関係性の強い「関係人口」を増やせれば、と菅原さんは考えています。

現在も月の半分は地元、残りの半分は東京・浅草橋で過ごす菅原さん。

浅草橋のリトル・ジャパンに集まる全国や世界から集まるゲストたちと情報交換をしながら色麻の魅力を伝えています。

地元色麻町での活動は、地元住人の意識を変えるための試み、東京の地域意識高い人と地元住人の交流などを開き始めました。

< 地元「色麻町」で開かれた交流会 >

 

地元住人に先ずは外を知ってもらう、ことを心がけています。

色麻町に住んでいると「情報が圧倒的に少ない。だから想像がつかないのです」。

情報を届く形で発信することが必要で、交流することで生の声を届けることが出来ると菅原さんは考えます。

これからの働くスタイル、2拠点、多拠点生活の菅原さんの活動、ますます目が離せません。

私も、色麻町にも行って観なきゃ、です。

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいと思います。

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「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

*1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

*1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会・分科会や本会議での研修講師や基調講演の講師をプロデュースしている。これは業界への恩返しと考えてのサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究。

*お節介していることは、全国各地のまちづくり・地域づくりの当事者やそれを紹介するメディアの編集者たちを、勝手に紹介・繋いだりすること。

*2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に多々掲載された。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員(前認定委員長)。

*その他、数店のお気に入り店舗(飲食店&本屋さん)の口コミ宣伝部長の名刺がある。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

*facebookでの発信は、多岐に渡る。

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執筆者

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鍋島 裕俊

(自称:折込広告研究所所長)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考える戦略セクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会)。
研究テーマは、(1)折込広告の全般研究、(2)折込広告史の研究、(3)新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。

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