花期花会

2019年09月05日第43回『地域イノベーター紹介-その10』

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回に引き続き、我が関心事、地域をデザインしているイノベーターを紹介します。

へぇ~、こんな面白い人が、こんな素晴らしい人が、いるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

「地域イノベーター」シリーズその10

今回の地域イノベーターは、コミュニティナースカンパニーの代表で、今年の2月に、初めての本『コミュニティナース まちを元気にする“おせっかい”焼きの看護師』を出された矢田 明子(やた あきこ)さんです。

< 矢田明子さん>

 

矢田さんたちが行っている「コニュニティナース」って初めて聞くと思います。

「コミュニティナース」って何でしょうか?

「コミュニティナース」とは、病院で働く看護師さんと違い、

専門的な治療を行うのではなくて、まちに暮らす人々の動線の中に入り込み、

地域の住民たちと関係を深めながら、

カフェや集会場などに設けた「まちの保健室」の運営や、

一人暮らしのお年寄りの見守りや巡回などを通じて、

普段の生活でなかなか病院に行かない・行けない人たちに対して、

まちを健康にする、健康的なまちづくりに貢献する人たちのこと

を言います。

矢田さんは、病院の中で患者を待つのではなくて、町の中でおせっかいをやく医療の専門家「コミュニティナース」を名乗って、今から12年前に島根県出雲市で実践を始めました。

何故に、矢田さんはコミュニティナースを始めたのでしょうか?

それは矢田さんの原体験からくるものです。

病気の宣告からたった3ヶ月後に亡くなった父親のことです。

「お父さんは、どうして病気で死ぬ前に町中で、医療の専門家に会うことができなかったのだろうか。もし誰かが、早く病院に行くように促してくれていたら・・・」。

矢田さんは考えます。

健康づくりの取り組みは各地で行われているけど、そういう場に自ら出ていく人は基本的に健康への関心が高い人たち。

仕事や子育てなどで手いっぱいで、自分の健康については後回しにしてしまう人が大半。

その人だって、本当は自分の健康について疑問や不安があるけど、病気やケガをした時に周りに誰も声をかけてくれる人がいないと、なかなか病院に足が向かない。

最悪、病院に行ったときには重症化して手遅れになることもある。

そうならない前に、そんな人たちの暮らしの動線に、ケアする人が入り込んでいって、関係をつくり、信頼を得て、健康について気兼ねなく話ができるなら父親のようにはならないだろう。

最悪の事態は防げるだろうと。

コミュニティナースの活動の一例を紹介します。

東京早稲田にあるコミュニティスペースの我楽田工房で開催された「みんなの保健室」です。

これは、コミュニティナース育成プロジェクト一期生たちが企画しました。

10時から13時までという短い時間ながら、「みんなの保健室」が開催されました。

開催までの告知は、近隣商店街と町内会にチラシを、声をかけながら配布し、また仲間を経由して伝えてもらうためにFacebookでも告知しました。

その結果、告知を見て来た方はもちろん、通りがかった方もフラッと立ち寄ってくれました。

88歳のおばあさんや、地元の自治会系の方など、20名以上が参加。

最初は何をやるんだろうと戸惑っていた住民、しかしコミュニティナースは、すぐに打ち解けて、参加者が持つ健康面や生活面での悩み事を親身に聞いていました。

< みんなの保健室 >

 

また、今回は「呼吸」をテーマしたのですが、登場したアイテムは「吹き戻し」。

縁日などにある、あのフーっと吹くと紙の筒が伸びるおもちゃ。

これを10秒間吹き続ける体験を、みんなの保健室に来た方にしてもらったそうです。

実は、この吹き戻しを使うアイディアは、担当したコミュニティナースのお父さんが脳梗塞のリハビリをしている時に使っていたそうですが、吹き戻しという懐かしいおもちゃを通じて、呼吸することや喉の筋肉を大切にすることを楽しみながら参加した方に伝えることができたそうです。

< みんなの保健室 吹き戻し >

 

こんな活動のコミュニティナース、矢田さんは何でもありだと考えています。

「最近思うのは、答えはつくっていくものだということ。答えがわからない中でも、最適を目指して、諦めず繰り返しやっていくというスタイルで運営していく。自分たちでありたい未来をつくっていくのが、答えかもしれないと思っています。」

こんな考えで進めるコミュニティナースの活動、全国に拡がってきています。

矢田さんが出雲で始めたこの「在り方」は共感を呼び、コミュニティナースプロジェクトの修了生は110名を超えました(2019年1月現在)。

皆さんのまちにもコミュニティナースを。

矢田さんの本も、ぜひ、読んでみてください。

< 矢田さんの本 >

 

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいと思います。

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「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

*1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

*1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会・分科会や本会議での研修講師や基調講演の講師をプロデュースしている。これは業界への恩返しと考えてのサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究。

*お節介していることは、全国各地のまちづくり・地域づくりの当事者やそれを紹介するメディアの編集者たちを、勝手に紹介・繋いだりすること。

*2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に多々掲載された。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員(前認定委員長)。

*その他、数店のお気に入り店舗(飲食店&本屋さん)の口コミ宣伝部長の名刺がある。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

*facebookでの発信は、多岐に渡る。

 

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執筆者

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鍋島 裕俊

(自称:折込広告研究所所長)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考える戦略セクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会)。
研究テーマは、(1)折込広告の全般研究、(2)折込広告史の研究、(3)新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。

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