花期花会

2019年02月27日第35回 『地域イノベーター紹介-その2』

<馬場正尊さん>

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回から定期的に、我が関心事である興味深い活動をされておられる方(地域をデザインしている方、地域のイノベーター)と出会い、共感しましたので、一人だけ享受するのは勿体無いと考え、この場で披露させていただくことにしました。

「地域イノベーター」シリーズその2。

今回の地域イノベーターは、リノベーションの達人、馬場 正尊(ばば まさたか)さん。

へぇ~、こんな面白い方が、こんな素晴らしい方がいるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

 

馬場さんは、早稲田大学で建築を学んだ後、広告代理店に入り、大型のイベント制作などを手がけ、その後、建築設計事務所「open A」を立ち上げました。

最初は、日本橋から神田にまたがるエリアで、リノベーションする物件開発とイベント運営の経験から「東京R不動産」というネットメディアを立ち上げて、味わいある物件紹介を広めました。その結果、「○○R不動産」は、全国に拡散していきます。

馬場さんが、リノベーションをするきっかけは、アメリカに視察に行き、廃れた中華街にアーティストが住み着くことで、まちがクリエイティブに変わっている様子に感動したことからです。古本屋をカフェに、デパートを子どものためのミュージアムに、リノベーションされていることをみて、建物の記憶を継承することの大切さと、継承できるリノベーションという手法が、今後の建築のあり方ではないかと考えたのです。帰国後、古い物件を借りて白くペイントして事務所を構えました。これがリノベーションの仕事のスタートでした。

その後のリノベーションの実例を紹介すると、壊す事もできず放置されていたビルをオフィスビルと賃貸住宅にリノベーションし、費用もあまりかけずに無骨な感じにしたら、面白いことに賃貸住宅は周りの新築の賃貸相場より高くなったそうです。何故なら、周辺には一般的な物件しかなく、個性的なビンテージの様な部屋にニーズがあったからです。リノベーションのメリットは、投資回収の期間が短い事や新築を建てるよりリスクを少なく出来ること。

 

次に川沿いにある倉庫のリノベーションでは、倉庫の中にガラスのボックスを置きオフィスにしました。必要最低限の空調で無理なくオフィスとして機能出来るし、社員は広い倉庫のいろいろな場所で仕事も出来、オフィスワークのイメージを新しくしました。リノベーションは働き方を刷新することが出来るのです。

 

更に新聞印刷工場のリノベーションでは、工場の雰囲気を残しつつ、イベント会場やオフィスにしました。イベント会場は有名ブランドやアーティストが使うようになり、屋上の広いウッドデッキスペースは都内屈指のパーティー会場として有名にもなりました。この案件では建物自体がメディアにもなるということを考えるきっかけとなりました。

最近は特に公共空間のリノベーションを進めています。公共空間に興味を持ったのは「公園」で、公園使用についての禁止事項の多さを目にした時です。現代では、所有と共有が明確に分かれており、それがまちを衰退させているのではないか?所有と共有にある中間(Common)を作り出すことが、これからの新しい公共空間において必要なことではないか?と考えました。

公園利用の一例では、都内豊島区の南池袋公園とグリーン大通りで開催されるマルシェやワークショップ、そこに雑司が谷の手創り市や周辺のカフェやギャラリーもつながり、奥池袋・雑司が谷に大きなループ状の回遊動線が生まれました。メイン会場のグリーン大通りには、ほっと一息つけるようなストリートファニチャーやハンモックなども設置され、家族連れが公園にくつろぐ姿が見かけられました。

公園利用でもちょっと違う事例では、静岡県沼津市の泊まれる公園「INN THE PARK」です。以前は30年以上にわたり愛されてきた「少年自然の家」跡地で、本格的にリノベーションしました。敷地面積9,000㎡の広大な自然環境を活かした複合施設“ 泊まれる公園”「INN THE PARK(イン・ザ・パーク)」を昨年に開業しました。コンセプト通り、快適性とエンタテインメント性を併せ持つ施設に生まれ変わりました。

 

これらに見られるように、馬場正尊さんの仕事スタイルは、ご本人が徹底的に「たのしんでやる」ということと、事業そのものを練って練り上げて「実施段階で事業は確立している」ということです。これらの仕事スタイルは、本当に勉強になります。

<INN THE PARK>

<南池袋公園>

 

 今回はここまで。

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいとおもいます。

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「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会や本会議の基調講演講師のプロデュースを業界への恩返しと考えサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究、④地域づくり、など。

2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に掲載。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

facebookでの発信は、多岐に渡る。

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執筆者

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鍋島 裕俊

(自称:折込広告研究所所長)

1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考える戦略セクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会)。
研究テーマは、(1)折込広告の全般研究、(2)折込広告史の研究、(3)新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。

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