ファンサイト通信

2017年10月26日第753号『好きな映画館』

【J&Bの前で】

横浜での暮らしも随分と時が過ぎた。
そんな横浜に、ときどき古い友人が訪ねて来てくれる。

新宿・渋谷・池袋など、駅名と街の風情を重ねて思い浮かべることは用意なのに、
横浜・・・と言ったとき、なぜか僕の頭の中には横浜駅とその周辺の色合いがす
ぐには思い浮かばない。
だから、待ち合わせ場所は桜木町や関内、日ノ出町や野毛あたりになる。

伊勢佐木町から、野毛、日ノ出町、黄金町あたりの街の風情がたまらなく好きだ。

そして、僕の大好きな映画館「シネマ・ジャック&ベティ」もこの界隈にある。

初めて、京急線黄金町駅に降りたときの衝撃は忘れられない。
まだ昭和(ガード下にはチョンの間のある飲み屋が軒を連ねていた)が息づいて
いる、まるで映画のセットのような街の光景に唖然とした。
いまでは、横浜市の浄化政策により違法な風俗店は一掃され、その面影を残した
まま、お店はギャラリーやショップ、カフェなどのアートを発信する街へと(成
功したかどうかは定かではないが)イメージチェンジした。

映画館「シネマ・ジャック&ベティ」へは、黄金町駅から橋を渡り、イメージチ
ェンジはしたとはいえ、それでもまだまだ怪しい雰囲気を醸し出している通りを
徒歩で5分ほどのところにある。

その発祥は、米軍の施設跡地に1952年「横浜名画座」として開館。
1991年にビルに建て替え、その中に現在の2館の映画館「シネマ・ジャック&
ベティ」として再出発したと聞く。

横浜を舞台にした伝説の映画『私立探偵 濱マイク』の探偵事務所が映画館内に
あるという設定の「横浜日劇」もこの近くにあった。
映画とテレビでもシリーズとなった林海象監督の(唯一の)傑作作品。
この映画を当時中学生だった倅、元気と観たことを、昨日のことのように鮮明に
覚えている。
しかし、「横浜日劇」は残念ながら2005年に閉館、2007年には取り壊され跡形
もなくなった。

さて、大好きな「シネマ・ジャック&ベティ」の今現在である。
エスカレーターか階段で2階へ上がる。
右手には青で直線的な内装のジャック。
左手は赤で曲線が多い内装のベティ。
当初、ジャックは時代劇や西部劇などの男性向け作品を。
片や、ベティはロマンスなどの女性向け映画をというコンセプトで上映して
いた。
しかし、現在は単館系ならではの良質な洋画作品からマニアックな邦画、ド
キュメンタリーまで幅広く上映している。

ふと、映画『私立探偵 濱マイク』に登場する横浜日劇のモギリのおばさん役
の口ぐせを思い出した。
「映画を観る余裕もなくっちゃ、人間おしまいだわぁ」。
その通りだと得心した。

お知らせです。
11月3日(金)は文化の日。
祭日のためファンサイト通信もお休みです。
次回は、11月10日(金)配信予定。

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執筆者

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川村 隆一

ファンサイト有限会社
代表取締役

1952年1月生まれ。
日本大学芸術学部卒業。
日活株式会社、日本工学院専門学校映像デザイン美術科(現)グラフィックデザイン科専任教師、株式会社Cカンパニー、株式会社ナガセ等を経て、ファンサイト有限会社を設立。
資生堂・イオングループ・キリンビール・マツダ等の企業コミュニケーション/広報活動のためのディレクションとプランニングを手がけてきた。

【書籍】「企業ファンサイト入門」日刊工業新聞社刊 2006年
【賞】経団連海外広報センター最優秀デザイン賞(横浜銀行アニュアルレポート)

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